EOS M用リングライト内蔵のマクロレンズ
28mmF3.5マクロレンズだが、EOS Mシリーズ用の単焦点レンズとしても、薄型のEF-M22mm F2 STMに次ぐ待望の2本目であり、標準レンズとしての使い勝手も気になるところだ。最大撮影倍率は、通常で等倍、鏡胴のモード切り替えリングをさらに回し込むとスーパーマクロモードになり1.2倍での撮影が可能だ。
レンズ先端にLEDリングライトを内蔵しているのが特徴として際立つ。左右二つに分かれていて、全体を発光させるだけでなく、左右一方だけを光らせる使い方もできる。落ち着いた明るさの室内などでは補助ライト的な感じで効果は十分に実感できるし、暗い日陰や曇天時の極端なマクロ撮影時などでは、隠し味的にライトを利かせられる。そのようなシーンで「ここはライト使っちゃおうかな」と一人で悦に入りながら楽しむというのも、このレンズの正しい使い方だ。ただし、そのときの撮影姿は十中八九、相当に怪しげなものなので「何を撮っているんですか?」と聞かれたときに自然なコミュニケーションを楽しめる心のゆとりも、失わないようにしたい。
今回、ライトを積極的に使っていろいろ遊んでいたら、低消費電力なLEDとはいえ、バッテリーの消耗は早い。ボディーから供給されるので、それだけ撮影枚数が減ることになる。明るさは2段階で切り替え可能だが、最大にしてもそれほど光量が大きいわけではないので、屋外ではほとんど役に立たないと思ったほうがいい。
このレンズの特徴を吟味してみると、小さな前玉&先細りデザインの威力で「レンズの影になって暗くて困る」という状況になりにくいことに気づく。明るさをF3.5に抑えた単焦点レンズなのに10群11枚と凝った光学系と、この鏡胴のデザインも相当に考えて作られたと感じる。MF操作のフィーリングも悪くない。LEDライトがなかったとしても、マクロレンズへの意気込みを感じる。
常用の標準レンズとして遠景などを撮影する場合、絞り開放から整った描写で悪くなく、f5.6まで絞ると鮮鋭度が少しアップする。しかしf8では回折の影響で絞り開放と似た感じまで戻り、それ以上絞るとピントが緩くなる。この変化は自然で光学設計の素直さをうかがわせる。絞りf8以上は被写界深度やボケの調整など必要に応じて選びたい。
◆まつうらやすし
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●焦点距離・F値:28mm(35mm判換算で44.8mm)・F3.5●レンズ構成:10群11枚(非球面レンズ2枚、UDガラス1枚)●最短撮影距離:0.097m。スーパーマクロモード時:0.093m●最大撮影倍率(35mm判換算):1倍。スーパーマクロモード時:1.2倍●画角:51°55′●フィルター径:φ43mm●大きさ・重さ:φ60.9×45.5mm・約130g●価格:税別標準4万5000円(実売税込み4万870円)