原田知世(はらだ・ともよ)/1967年生まれ。最新ミニアルバム「カリン」は長くタッグを組む伊藤ゴローさんが総合プロデュースを務めた。俳優としての最新作に映画「35年目のラブレター」(2025年3月7日公開)(hair & make up & styling 藤川智美(Figue)、撮影/写真映像部・佐藤創紀)
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 芸能生活40年を迎え、芝居と音楽を両立する原田知世さん。今、人生の豊かさについて考えていることとは。AERA 2024年12月9日号の記事より。

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 原田知世さんが50歳を過ぎて始めたことの一つに「ゴルフ」がある。ゴルフをしているあいだは、ほかのことは一切考えずに集中することができる。難しいからこそ飽きないし、経験を積み重ねることで、成長も感じられる。

 変化や新しいことに柔軟であることは仕事でも同じ。デビューした頃は、デジタル配信という言葉すらなかった時代だが、そうした音楽業界の変化にも面白がりながら向き合っている。

「面白がるのが一番いいと思いますね。情報にのみ込まれて迷子にならないようにさえすれば、あとは楽しむほうがいいですよね。世の中の変化は止められないですから」

 年を重ねることの良さは、どんなところにあると考えているのだろう。

「時間がなく、駆け足で人生を走っていた時期よりも、いまの方が仕事に対してじっくりと向き合えている気がします」と原田さんは言う。

「与えられた声や体と仲良くしていきたい、自分を好きになるって大事なことなんだな、とも思うようにもなりました。一つ一つを慈しむというと言い過ぎなのかもしれませんが、日々丁寧に、かみしめながら生きられるようになったのは、やはり心に余裕ができたからなのかもしれません」

 時間は思う以上にあっという間に過ぎていく。50代後半になり、そう強く感じている。

「元気に動き回れる時間があとどれだけあるだろう、と考えると、長いようでそんなにないのかもしれない。とすると、先々のことを考えるよりも、今日を楽しまなければ、と考えるようになりました。楽しく料理をしたり、友達とおいしいものを食べたり。人生の豊かさって、目の前にある時間、日々の幸せを感じることなのではないかなって、いまは思っています」

(ライター・古谷ゆう子)

AERA 2024年12月9日号より抜粋

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