社会の中で生きづらさを強いられる人たちがいる。性的少数者や身体障害者、子育てしながら働く母親たち。そういう社会の仕組みを変えようと奮闘してきた7人が紹介されている。
 7人はみな「フツーの人たち」だ。東京都杉並区で保育園増設を働きかけた「保育園一揆」の発起人は、働く2児の母。SNSで保活の相談を受けるうち、行政への異議申し立てへと活動が広がった。思いを共有する人を集め、政治家と会い、パイプを作る。有効だと判断すれば、車いす集団でデモを行うパフォーマンスもやる。行政との対立は避け、政策形成や法改正につなげる。
 したたかに動き、着実に状況を変えた7人に感服させられる。社会を変える手段は選挙やデモだけではない。誰もが市民として持つ権利を行使した一般人たちの軌跡が詰まった一冊だ。

週刊朝日 2016年7月29日号

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