「名簿を渡される前から玉木はコツコツと回って、自らの考えや政策について丁寧に話していました。玉木に“ほれ込んだ”私はできることをしようと思って父の名簿を使ったのですが、風当りは強く『裏切り者』などと言われ続けました。もちろん敵陣営の支持者なので批判されるのも覚悟の上でした」
そうした結果、自民層を切り崩し、当選を勝ち取った玉木氏は、民主党が政権を明け渡した12年の衆院選でも議席を守り、今回の衆院選まで6回連続で当選している。
地元の支持を盤石のものとした玉木氏。その強さについて渡辺氏は、
「国民民主党のホームページ上でたびたび募集する『代表質問での総理への質問』では、いつも数千件集まるようですが、すべて玉木が見ています。彼の体力は底知れません。そして彼は“政治アスリート”です」
と表現する。
相談後、1週間で菅首相に話を
「政策として打ち出すスピードが速いのです。たとえば、前回の参院選のとき、学生と意見交換をし、『ガソリン代も大変だけど電気代も高い』との意見が多く出たら、再エネ割賦金の廃止を翌週に掲げていました」(渡辺氏)
民主党の元香川県議で、現在は自民党県議の岡野朱里子氏もこう語る。
「私は以前から不妊治療への保険適用を訴えてきました。ただ、市議の声が国政に届くことはなく困っていたところ、玉木さんに相談したら、その後1週間ほどで当時の菅義偉首相に話を持ちかけてくれました。一番スピード感がある政治家では」
玉木氏の地元事務所で秘書をしていたA氏も、
「普通、あのスピードで政策提言なんてできませんよ。そこはみんな尊敬しています。知力、体力もあって顔もいい(笑)。首相にふさわしい能力が備わっている人間だと思っています」
と絶賛する。選挙でのねばりや根気強さ、政策へのスピード感。それらが玉木氏の力の源泉ということか。
しかし、一方、別の元秘書は、玉木氏の違う側面を指摘する。