日本一有名な卓球選手、水谷隼さんに独占インタビュー。現役時代の本音、引退後の今……包み隠さず語った。【本記事は前編です/アエラ増刊「AERA Money 2024秋冬号」から抜粋しています】
【写真】水谷 隼さんのオリジナルラケット、決めショットはこちら!
水谷隼(じゅん)さんは、言わずと知れた日本卓球界のレジェンド。2021年の東京五輪(東京2020オリンピック競技大会)には、2008年の北京五輪以来4回目の日本代表として出場し、混合ダブルスで日本人初の金メダルを獲得した。
地元、静岡県磐田市の「豊田町卓球スポーツ少年団」でラケットを握ったのが5歳のときだという。数あるスポーツから卓球を選んだのはなぜ?
「両親が卓球選手だったという単純な理由が一番大きいです。もともと球技は好きでした。
サッカー、ソフトボール、ミニバスケットボールといろんな球技をやりましたが、『卓球が一番難しくて、奥が深い』と感じて、だんだん引かれていきました」
幼少期からスポーツ万能だった水谷さん。
「卓球以外のスポーツはわりと簡単にできた気がします。素人が見よう見まねで覚えて、経験者を相手にそこそこ健闘できる競技は意外にあります。
でも素人がプロに勝てない競技が卓球なんです」
時速120キロの豪速球
卓球は「回転のスポーツ」と呼ばれる。ラケットと球が触れる瞬間に角度を微調整し、球に高速回転を与える。トップレベルの選手ともなれば1秒間に百何十回転以上とも。
そんな球が幅152.5センチ、奥行き274センチの卓球台を、時には時速120キロで往復する。
「映像では『球が速いな』ぐらいしかわからないと思いますが、とんでもない回転がかかってるんです。未経験者が僕とやっても絶対に打ち返せません」
という水谷さんの言葉は誇張ではない。
水谷さんのプレー姿を長年見てきたためか、今も現役続行中だと思っている人は少なくないようだが、東京五輪のあとに引退を表明した。
翌2022年2月に開かれた水谷さんの引退イベントでは、松島輝空(そら)選手、張本智和選手とのエキシビションマッチや愛娘からの花束贈呈、後輩たちの胴上げで盛り上がった。水谷さんの締めくくりのスピーチが印象的。