「これからも米国株が勝ち続けるかどうか。米国のマーケットはドラスティックに変わってきました。たとえばインテルは、今や劣等生扱いです。

かつては『ウィンテル』と呼ばれていた時期もあったほどなのに。2024年の米国株のスターであるエヌビディアが10年後、20年後にどうなっているか」

 それを言いはじめるとキリがないのは承知で、リスク分散の大切さを伝えたいようだった。

米国人は興ざめ中

 本記事の取材時(2024年9月17日)、篠田さんは米国視察の出張から帰ってきたばかりだった。米国の個人投資家は全体的にピリピリムードだったという。

「大統領選挙は盛り上がっていなくて、多くの米国人が興ざめの雰囲気。日本に伝わってくる情報とは食い違っていました。

 米国では2022年にS&P500が20%超下落し、2021年のリターンを飛ばしてしまったため、現地の個人投資家はリスクに敏感になっている印象。

『潮目が変わってきた』ことに気づき、米国株以外の金融商品でリスク分散する動きが見られました。

 2022年に米国株が下落していた頃、円安が進んでいたので日本人は痛い思いをしていません。当時S&P500や全世界株式を買っていた方はまだほぼプラスのはずです。

 2024年8月5日に暴落しましたが、翌日の8月6日には盛大に上がりましたし。日本の投資ビギナーはここ数年、うまくいきすぎている気がしていて、今後が心配です」

 篠田さんは、リタイア時期までが短く「失敗できない」人は米国株関連の投信に全振りせず、別の資産も検討することを勧めた。

「たとえば、金(ゴールド)。円高に振れる可能性も考慮し、あえて為替ヘッジありの金の投信を資産の一部で持つなどです」

「為替ヘッジあり」だと現状はヘッジコストがかさむが、金そのものの価格だけで運用する。

 その意味で、いったんドル転は必要だが、海外ETFの「SPDRゴールド・ミニシェアーズ」を持つのも悪くないという。


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