楽天証券経済研究所シニアマーケットアナリストの土信田雅之さん(撮影・佐藤創紀/朝日新聞出版写真映像部)
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 株式市場で時々発生する下落はインデックス型投資信託(以下、投信)を安値で仕込むチャンス。では、どれくらい下落したときに買い増せばいい?【本記事はアエラ増刊「AERA Money 2024秋冬号」から抜粋しています】

【図版】S&P500と全世界株式「何%下落で買い増し」か分かる表はこちら!

5%下落で買い増し作戦

 2024年8月上旬に世界的な株価の暴落があった。9月には、やや急速に円高が進んだ。そのとき全世界株式やS&P500に連動するインデックス型投信の基準価額も、下がった。

 つみたて投資をしているとき、基準価額が下がったら「今月は安く買えたな」などと考えてほしい。

「下がった! 怖い! つみたて、やめた!(または「損がこれ以上拡大しないように売っちゃおう!」)は、一番もったいない行動だ。つみたて投資を続ければ、経済成長とインフレ(現金の価値が低下し、逆に株式などモノの価値が上昇する)で自然と資産が育つはず。

 むしろ下がったときは「チャンス」と考えたい。もし手元に余裕資金があれば、新NISAの成長投資枠などを使って買い増しをしてみよう。

 ただ、初心者はここで悩む。「どれくらい下がったときに買い増しをすればいいの?」「買い増しをすると、どれくらい結果がよくなるの?」

スポット買いの目安

 楽天証券経済研究所シニアマーケットアナリストの土信田雅之さんに過去の下落局面を調べてもらった。検証したのは2000年1月から2024年8月まで、296カ月=約24年半の全世界株式とS&P500。

 それぞれの指数が月間で5%以上もしくは10%以上下落した月が何回あったかを数えた。詳細は表にまとめてある(本記事次のページに掲載)。

「全世界株式が前月に比べ10%以上下落した月は約24年半で7回、5%以上下落した月は40回でした。S&P500が10%以上下落した月は24年半で9回、5%以上下落は43回。10%以上の下落月は24年半という長期でもかなり少ないことがわかります。

そう考えると、スポット買い(スポット的に買う=買い増し)に動く目安は『月間で5%以上下がったら』が適当でしょう」

本記事が丸ごと読める「AERA Money 2024秋冬号」はこちら

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買い増しでどれくらい差がつく?