「ユーミンが結婚する前、荒井由実名義での最後のシングルです。本物のパイプオルガンの音色から始まる曲なんですが、ユーミンは立教女学院中学校・高等学校というミッションスクール出身で、当時、学校で聴いたパイプオルガンが、彼女の音楽のルーツの一部分でもあります。
また、ユーミンはブリティッシュロック、特にプロコル・ハルムというバンドに多大な影響を受けています。『翳りゆく部屋』は、そんな背景を感じさせる、クラシック的なオルガンやストリングスに、ロックを融合した特徴的な楽曲です。当時のユーミンの音楽性が端的に表れていると思います」
「翳りゆく部屋」は1976年3月5日リリースされた。天皇陛下は1960年2月23日生まれなので、リアルタイムで聴いたとすれば、16歳になったばかりのころだ。
「ファンからも人気の高い曲で、いまでもいろいろな人がカバーしています。最近だとエレファントカシマシの宮本浩次さんがカバーしていますね。歌詞が西洋的でロマンティック。当時、日本では4畳半フォークが流行っていた時代に、女子がグッとくるようなこんなオシャレなラブソングを書けるのは、ユーミンのすごさですよね」