占い師、作家 しいたけ.
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 AERAの連載「午後3時のしいたけ.相談室」では、話題の占い師であり作家のしいたけ.さんが読者からの相談に回答。しいたけ.さんの独特な語り口でアドバイスをお届けします。

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Q:夫に愛想が尽きました。セコいしキレやすいし、器が小さくて文句ばかり。ご近所さんも我が強くて計算高い人ばかりで、気も合わない。結婚してから、ロクな人生でなくなった気がします。でも子どもがいるので離婚は難しく。子どもたちは話も通じて良い子どもですが、義父母はまったく話が通じません。こうして書いていると私がおかしい人のようですが、周囲がヤバい人ばかりでつらいです。(女性/パート/48歳/しし座)

A:いいこととうんざりすることの割合が、自分の生活の中でどれぐらいの割合なのか。それを常にはっきりさせておくのは結構大事なことです。

 例えばうんざりするような状況にいても、何割かはその環境の中にいい部分もあると思うんです。だって100パーセント最悪な状況ならすぐ踏ん切りをつけて次の可能性を探しにいくはずだから。

 だから僕は「嫌なこと会議」を定期的に一人で開いています。生活する上で気に入っている、ありがたいなと思う部分と、嫌だと感じている部分を浮き彫りにしておきたいんですよね。それで嫌なことのインパクトが上回ったときには生活環境を変えようと決めています。

 そうじゃないと、人は、少しでも今の環境にいい部分があると、嫌なことに目をつぶりやすくなります。もうちょっと様子を見よう、我慢しよう、というふうに。

 相談者さんの場合、不快だと思うことをそのまま放っておいて良くなることはないように感じました。こういう場合、例えばどこに引っ越したらうまくいくとかそういうことよりも、自分の根っこにかかわる部分の改革をしていかなければいけない気がします。

 そこで個人的におすすめしたいのが「武道」です。なにも相手を倒すことが目的ではなくて、武道をやると自分の中に軸を持つことができるからです。

 武道をやっている人は、自分自身や環境に100パーセント、ベストなコンディションなどないということに気づいています。その中でどう立ち回れば生き残れるのか、嵐を凌いでいいポジションを取ることができるか、それを体とともに考える競技が武道だと思うんですよね。人が生き残っていくための知恵が、武道のカルチャーの中に含まれている。

 実際に体も強くなるので、「いざとなったらぶちのめせる」という自信が生まれて、大きなアドバンテージを握ることができると思います。

 こういう時「なんでこの人たちのために自分が新しい行動をしなきゃいけないの」と思う気持ちもわかりますが、でも待っていても変わらないしむしろ悪化します。自分自身が「よいしょ」と動いて新しい風を起こすほうがスムーズに解決すると思います。

 しし座は、守るものができた時に矢面に立って守ることができる人たちです。動かないことができてしまう。だから頭で考えるより、体で習得してしまうのがおすすめです。楽しめそうな武道を探してみてください。

AERA 2024年11月4日号