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 いま日本で「お金持ち」が増えている。野村総研の2021年の調査では、資産保有額が1億円以上の富裕層・超富裕層は150万世帯弱。人口減の中、この層は右肩上がりだ。わかりやすいお金持ちの代表格と言えば大手企業の役員たち。役員報酬は株高や世界の潮流に合わせて増加の一途となっている。AERA10月28日号で特集します。

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 東京商工リサーチが今年6月27日までに株主総会を終えた上場企業のうち、2024年3月期の有価証券報告書を提出した1911社を調べた。

 それによると、役員報酬1億円以上を開示したのは295社、人数は740人にのぼった。前年の722人を上回り、過去最多のペースだという。

 最高額はソフトバンクグループ(SBG)の取締役で、傘下の英半導体設計アームの最高経営責任者(CEO)のレネ・ハース氏で、34億5800万円だった。

 SBGの株主総会の招集通知によると、SBGの報酬は7200万円で、残りはアームからの報酬だったようだ。ハース氏は23年6月の定時株主総会を経てSBGの取締役に就任。このため、前年の開示はない。ちなみに、孫正義会長兼社長の報酬は1億円となっている。

 2位はソニーグループの吉田憲一郎会長兼CEOで23億3900万円。前年の20億8300万円から大幅に増えた。

 4位はLINEヤフーの慎ジュンホ代表取締役CPO(最高プロダクト責任者)で20億800万円。慎氏は対話アプリLINEの開発に当初から携わり「生みの親」とも言われている。前年の役員報酬は48億6700万円で1位だったが、今回大きく減少した。前年はLINEからのストックオプション(自社株購入権)が大半を占めていた。

 役員報酬1億円以上の開示は内閣府令に基づき、2010年3月期決算から義務付けられるようになった。基本報酬のほか、ストックオプションや賞与などが対象だ。

業績連動の報酬が増加

 日本企業の役員報酬は、基本報酬が占める割合が大きいが、最近はストックオプションなど、業績と連動するような報酬も増えている。コロナ禍からの業績回復や円安の影響で、役員報酬は高額化し、「1億円プレーヤー」も増加傾向にある。

 今回、10億円を超えたのは13人で前年から6人増えて過去最多となった。1億円以上の役員も10年前と比べて倍増しているという。

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役員報酬1億円以上が34人いる大手企業は