シン富裕層が次々と生まれている

「ネットでの株の売買などはスマホだけで完結するようになった。さらには、たとえば2000年代の従量課金や最近の『月に3GBまで』など契約データ通信量の上限を超えた結果、利用料金が高額になったり、通信速度が低速になってしまう、いわゆる『パケ死』が2018年前後を境に少なくなり、安い料金でネットが実質使い放題(大容量)になったことも、ネットビジネスを自由に際限なく広げていくためにはひじょうに大きかったと思います」

 二つ目は2017年、暗号資産であるビットコインの高騰が始まった頃だ。このことで億を超える資産を手にする「億り人」が急激に増えた。大森さんは、「そこにあったのは一定の先見の明と、幸運だ」と話す。

「勧誘される投資話には詐欺案件もひじょうに多い。そんな中、たまたま投資した暗号資産が詐欺ではなかった、というところにドリーム要素がある。売っても税金が高いからと放置していたら値上がりしただけ、という幸運な人も多いんです」

17年が大きな分岐点

 ただそこで、成功した人たちの中に「本物とは思えないもののなかにも、価値があるものがあるんだ」という気づきが生まれた。そこがポイントだったと大森さんは言う。

「ネットを使ったさまざまな新しいサービスや、その後に登場する生成AIなど、『新しいもの』に対してお金を投じようという流れが、加速していくようになった。その意味で、2017年は『富裕層の傾向が変わる』大きなターニングポイントでした」

 三つ目は、コロナ禍だ。オンラインでの商談や打ち合わせも一般化し、「人と会わなくてよくなった」ことが大きく影響したと大森さんは言う。

 たとえばコロナ前に、「ビジネスを始めたい。さっきテレビ電話で2時間話した人がよさそうだからその人と会社を作るよ」と言ったら、「馬鹿か? ちゃんと会って、深く話しなよ」となるのが当然だっただろう。でもいまはオンライン会議で、相手が海外にいようが場所など関係なく、ビジネスを依頼したり仕事を受けたりができるようになった。

「さらに言えば、人が人を信用する際にいままでは会わないといけなかったけど、会わずとも第三者の評価で人を信用するのが自然なことになりました。人と人が会わなくても、不特定多数に一気に情報を与えて、それに対してさまざまな形で課金することができるようになった。つまり、そこに大きなレバレッジがかかるようになったんです。非常に大きな変化だったと思います」

意外と地味で学歴低め

 日々、富裕層と向き合う仕事をしている大森さん。「シン富裕層」には、とても興味深い「特徴」があるのだという。

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大森さんが考える富裕層となるためのキーワードとは