「○○してはいけません」はルール。「通常○○するもの」は前例。では、マナーとは?
 ノンフィクション作家の著者が、「小笠原流礼法」から、自称「電車通勤士」、五輪体操金メダリスト、ベジタリアンまで、その世界の「やり方」のきわみを取材。ラーメン店の行列に並んだり、気合をこめて社交ダンスを体験したり。
 その場その場で交わされる問答が面白い。とくに、この道21年のベテラン仲人を訪ねる「結婚するつもり?」の章。「いい人がいれば」なんて言っていたら結婚できるわけがない。「誰と結婚しても同じよ」。成就のカギは「犬のイメージですよ」と、お見合い演出のノウハウを聞きだす。笑いをこらえつつ、黙考してしまう話が並ぶ。
「笑いヨガ」教室での、笑顔と心との関係についての説明には、なるほどと納得させられる。

週刊朝日 2016年6月10日号