竹増貞信/2014年にローソン副社長に就任。16年6月から代表取締役社長
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「コンビニ百里の道をゆく」は、ローソン社長、竹増貞信さんの連載です。経営者のあり方やコンビニの今後について模索する日々をつづります。

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 長い夏がようやく終わり、やっと秋を満喫できる気候になりましたね。家の近所を散歩していても、季節の変化を感じます。とくに花を見ていると、その移ろう様子は味わい深いものがあります。

 猛暑の今年はついこの間まで、夏の花であるサルスベリが咲いていた気がしますが、それも枯れていき、ああ、夏が終わったなと感じました。

 さて、じゃあ次は秋の花が楽しみだね、となるところですが、この夏から秋への季節の変わり目が、一年でもっとも「花をあまり見かけない時期」かなとも感じます。

 たとえば春から夏にかけては、どんどんいろんな花が咲いていきますよね。樹の花は梅から桜へと華やかにリレーされ、ハナミズキも咲いてくる。地上の花も菜の花やチューリップなど、何とも華やかなラインアップ。とにかくウキウキワクワクしてくるようなイメージです。でも、秋の花はちょっとイメージが異なるかもしれません。

 秋の花として私がまず思い浮かべるのは、菊です。私の故郷である大阪の「ひらかたパーク」というところで毎年、「ひらかた大菊人形展」という催しが開かれていました(2005年に終了)。

ひらかた大菊人形展の様子=2004年

 小学生の頃、その菊人形展に菊を出品していたんです。夏ごろから皆で菊を育て始め、きれいな大輪の花を咲かせるために、補助する棒を添えたりして一生懸命頑張っていたことを、秋になって菊を見るとよく思い出します。

 他にはコスモスも好きです。お花屋さんに並び始めると、「ああ、もう秋なんだなあ」と実感します。

 ただ、菊は何となく仏花のイメージも強かったり、秋の花って寂しいと言えば寂しいですよね。コスモスも歌で歌われるときは大抵寂しげな雰囲気ですし。でも、そんなどことなく愁いのある感じこそが、秋の花の特徴であり、魅力なのかもしれません。

AERA 2024年10月21日号