カマラ・ハリスとドナルド・トランプによるテレビ討論会の直後、主流メディアは「ハリス氏が勝利」というヘッドラインで報じた。日本の報道もそれをなぞるものだった。今度こそ女性大統領は登場するのか。AERA 2024年10月14日号より。
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日本では、多くの人が「いよいよハリスが優勢」と思っているだろう。
だがここに、大きな壁がある。「ミソジニー(女性嫌悪)」だ。
アメリカ社会は、実は少なからぬ層に「ミソジニー」が根強い。特に昨今、Trad-wife movement(伝統的な妻、つまり専業主婦への回帰)が起こっていることを、ほとんどの日本人は知らないだろう。
ヒラリー・クリントンが2016年に民主党大統領候補になり、最終的に敗北したとき、ヒラリー本人が大きな要因の一つとして挙げたのも、ミソジニーではなかったか。当時、ニューヨーク・タイムズは〈彼女とその支持者たちが、ミソジニー、性差別だと文句を言っていた〉ことを報じていた。
また、今回の選挙は性別に加え、「白人」「非白人」の問題もある。
「この二つの壁は明白だ。オバマは非白人の大統領だったが、男性だ。アメリカの歴史をみると白人女性の前に黒人男性が選挙権を獲得している。ミソジニーが人種差別よりも大きな問題であることを示唆しているだろう」(フィナンシャル・タイムズ紙のエドワード・ルース)
もちろん、投票の動機は複雑だ。
「オバマに投票しながら、ヒラリー・クリントンに投票しなかった600万人の有権者の動機がミソジニーだと証明することはできない。が、アメリカの政治感覚を常識的に読めば、ミソジニーがいまだに非常に強い役割を果たしていることに同意せざるを得ない。カマラ・ハリスにとって大きな壁だ」
白人女性は、女性の大統領候補に投票するのか。