県議会から不信任を突きつけられていた兵庫県の斎藤元彦知事が9月26日、「県議会の解散はせずに失職する。出直し選挙に臨みたい」と表明した。30日付で知事職を失い、50日以内に行われる知事選に出馬するという。県議会全会一致での不信任決議を受けたというのに、改めて県民の信を問う正当性はあるのだろうか。
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26日に記者会見した斎藤知事は、出直し選挙を決断した理由について、
「昨日の朝、高校生が私のところにきて手紙をくれた。『批判はあるが頑張ってほしい、やめないで』とエールをもらった」
と目をうるませながら話した。
美談のように語ったが、斎藤知事は県議会が全会一致で可決した「知事としてもう信任しない」という決議よりも、高校生の1通の手紙が重いというのだろうか。
会見で、改めて疑惑追及のきっかけとなった元県民局長の内部告発について問われると、
「誹謗中傷性の高いもの」
とこれまでの主張を繰り返した。
また、県議会から不信任決議を受けたことについては、
「知事は(県民の)大きな負託を選挙で受けている。机を叩いたりしたことは反省しなきゃいけないが、職を辞するのは重大なこと。議会の判断だが、そこまでいかなきゃいけないのかという思いはある」
と本音をのぞかせた。
内部告発をきっかけに県議会に文書問題調査特別委員会(百条委員会)が設置され、そこで「パワハラ」や「おねだり」などが次々と証言され、内部告発者への「違法」ともいえる厳しい対応が明らかになり、ついに県議会が不信任を突きつけたことについて、不満たらたらの様子なのだ。
斎藤知事は「議会解散は考えていなかった」とも会見で語ったが、自民党の県議は「知事は県議会解散を模索していたはずだ」という。
「『そこまでいかなきゃいけないのか』という発言は、俺を不信任に追いやった県議会を解散したかったという本音が出たと思う。プライドの高い斎藤知事は『知事の俺様に不信任とはどういうことや』『自民党、維新は裏切りだ』と激怒していたそうだ。自民党の関係者が斎藤知事に弁護士まで紹介していたので、斎藤知事には『信用していた自民に裏切られた』と映って、県議会を解散してやるわということだったのでしょう。しかし、県議会解散となれば選挙費用が16億円かかると試算が早々に報じられてしまった。それは知事選で推薦してもらった維新の『身を切る改革』とは明らかに逆行して、やばいとなって、出直しの知事選のみとなったはずです」