「コンビニ百里の道をゆく」は、ローソン社長、竹増貞信さんの連載です。経営者のあり方やコンビニの今後について模索する日々をつづります。
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近年、ローソンで働く外国人従業員の方が増えてきています。6月末時点で、全体の約13%。そんな彼らが着用する、ある「バッジ」の実験運用が始まっています。
外国人従業員が話せる言語を表示した「多言語バッジ」。英語、中国語、韓国語、タイ語、ベトナム語、インドネシア語、ネパール語の7言語を対象にしています。
日本へのインバウンド需要が増え、多言語対応の強化が急務であること。それも背景にありますが、もう一つの狙いは「お客様と従業員とのコミュニケーション」です。
もともと、従業員の出身国の国旗をバッジとしてつける取り組みを自主的に行うオーナーさんもいました。彼らに聞くと、外国人従業員の方も、その国旗を見たお客様がベトナム語やネパール語などで話しかけてくれると、すごくうれしいそうなんです。
一方でお客様の中にも、従業員とのコミュニケーションを求める方がいらっしゃいます。そんなとき、「外国人の方だな」とはわかっても、どこの国から来たのかはわからないケースも多いでしょう。
多言語バッジで従業員の話せる言語がわかれば親近感もわき、「私はベトナム、行ったことあるよ」とか、「こんな韓国語なら私、話せるよ」など、お客様の方からもコミュニケーションのきっかけが作りやすいですよね。
バッジには対応言語と合わせて着用できる「日本語勉強中」の表記もあります。外国人従業員の方は、お客様が日本語で早口でお話しされると、最初はやはり「怖い」らしいんです。理解できず「どうしよう」となるし、お客様も「せっかく話しかけたけど」という結果になりがちです。でも最初から「勉強中」と書いてあれば、そんな誤解も減らせるかもしれません。
多言語バッジで、ローソンで「より楽しい会話」が生まれることを期待したいです。
※AERA 2024年9月30日号