動物はどうでしょうか?
動物でも雌雄同体のものは知られています。カタツムリ、ミミズ、アメフラシ、ウミウシ、寄生虫のなかま、深海魚の一部、などです。これら生物の共通の特徴は何でしょうか?
生き物が苦手な方だと、「なんだか見た目が気もち悪い!?」なんて回答するかもしれませんが、植物も含めるとイメージしやすいかもしれません。
答えは、自発的な移動が難しい、です。
多くの植物は、自身で簡単に移動することはできません。ですので、おしべでつくられた花粉(配偶子)をめしべに届けるために、風や昆虫など他者の力を借りる必要があります。カタツムリやミミズなども、なんだかゆっくりとした動きで、運動能力が優れているようには思えません。寄生虫は宿主の体内に寄生しているため、限られた環境内に留まることが多いかもしれません。
こういった特徴をもつ生物は、生殖する相手を見つけることが難しい、という問題があります。
雌雄が別々の個体で存在している場合、めったにないチャンスでせっかく出会った相手が自分と同じ性であると、生殖はできません。しかし、雌雄同体であった場合は、仲間に出会うことさえできれば、互いに精子を渡し合い、自身の卵子に受精させることで生殖可能です。ですので、雌雄同体でいることで、相手を見つけにくいという難点をカバーしていると考えられています。
雌雄同体なら自身の精子と卵子を受精させれば良いのだから、相手を探す必要はないのでは?と思われるかもしれません。
ところが、自分自身の配偶子同士を接合させる自家受精は、多くの生物でできないようになっています。
一方で雌雄異体の生物は、オスかメスのどちらかの生殖器官を1種類だけもつようにして、その代わりに相手をさがし、出会うための能力を進化させました。迅速な移動あるいは長距離移動を可能にする肢や羽翼、鰭などの構造、相手を惹きよせるフェロモンなどの物質の分泌、鳴き声や超音波など、なんらかの音を出して相手に知らせる発音器官の発達など、生殖相手をさがし、出会うために様々な特徴が進化していきました。