国会議員も他人事ではない
23年の県議選で初当選した1期目の維新県議は、険しい表情で話す。
「斎藤知事が県議会解散に突き進むのは濃厚だ。吉村知事がなんとか説得して、斎藤知事が自ら辞職してくれることを切望していた。だが、吉村知事が言ってもダメとなれば、どうにもできません。昨年春に県議選で当選したばかりで、また選挙となればきつい。それでなくとも、大半の県民は、維新の吉村知事が全面的に支援して斎藤知事は当選したと認識している。このまま県議選になれば、維新はボロ負けだ」
23年春の県議選で維新は4議席から21議席と5倍以上に増やした。だが、多くはキャリアが浅い初当選の県議ばかり。維新が斎藤知事のマイナスイメージを抱えたまま県議会が解散し、県議選となれば逆風が予想される。
国会議員も他人事ではない。現在、自民党総裁選の真っただなかで9月27日に新総裁が決まる。9人の候補の多くは、総裁選からあまり時間をかけず、衆議院の解散・総選挙をする意向を示している。そうなれば、10月末から11月にかけて衆院選となる可能性が高い。
21年の衆院選で、維新は11議席から41議席と4倍近くに躍進した。
その中には、AERA dot.が9月10日に、内部告発した元県民局長の個人情報を外部に漏らすなど問題発言をしていたことを報じた掘井健智衆院議員もいる。掘井議員は、兵庫10区から立候補したが小選挙区では敗れ、近畿比例ブロックで復活し初当選している。
維新の幹部は、苦しい胸の内を明かす。
「世論調査を見ても維新の支持率は自民党にまったく及ばず、立憲民主党にも引き離されている。そこへ、斎藤知事が辞めずに居座り、県議会解散となれば、ますます支持が離れていく。もし県議選と総選挙の日程がかぶって、同じ日の投票なんてことになれば、維新の存続すら危ぶまれる結果になりかねない。吉村知事の説得が不調に終わったことが悔やまれる。今からでも、県議会解散だけは思いとどまるように再び説得してほしい」