
Q. 廣津留さんは学校での給食やアメリカでの生活、友人との食事などで、お肉が食べられないことで不都合な思いをしたことはありませんか。
A. 私が肉を食べられないことを同級生たちは知っていたので、小学校の給食では特に困ることはなかったですね。おかずに入っているときは肉をよけて自分でよそっていましたし、給食にサイコロステーキが出てきたときには、友達どうしでじゃんけんをして勝った子が私の分まで食べてくれて、むしろ「ありがとう」と感謝されたくらいです(笑)。
アメリカに留学していたときは、寮の食堂や街なかのレストランでもメニューには魚や豆腐などの肉以外のプロテイン(たんぱく質)や、野菜のオプションが必ずといっていいほどありました。カスタマイズして自分好みにできたので、全く問題ありませんでしたね。アメリカは多民族・多文化社会で、宗教的な理由や体質的な理由で食べられないものがある人が多く、多様な食生活に対応できるようになっているんですよね。グルテンを控える人、ラクトースを摂取できない人、赤肉のみ食べない人、動物性のものは全てNGの人、などなど…。私も、こんなにたくさんの可能性があるのだと海外に行って学びました。
食べられないものがあるなら「食べられない」と正直にまわりの人に伝えれば、不都合な思いをすることはあんまりないんじゃないかなと思います。会食の席でも事前に伝えておけば一人分だけメニューを変えてもらうこともできますし、栄養バランスについては別のもので補えばいいので。アメリカでは、人と食事に行くことが決まった際には必ず「Any dietary restrictions?(食事制限やアレルギーはありますか?)」と聞かれますし、お店では「What protein do you want ?(プロテインはどれにしますか?)」と聞かれることもあります。今の時代、食には多様な事情や考えを持つ人がいることを理解するのは大切な思いやりだと思います。
構成/岩本恵美 衣装協力/BEAMS