グローバルボーイズグループINI(アイ・エヌ・アイ)の許豊凡さん。写真=松永卓也(写真映像部)/スタイリング=TOGO MANAMI (TGC)/ヘアメイク=Sayaka(MASTER LIGHTS)

 そのためには自分で調べ、問い合わせ、みずから動く必要がある。受け身でいるだけでは得られないのだ。フェンファンさんは大学にどんなプログラムがあるのかも調べ上げ、韓国と香港にも留学した。

「3年生のとき、慶應義塾大学の交換留学プログラムに参加しました。世界中のパートナー校から選抜された学生が、1年間かけていっしょに日本(慶應)と韓国の大学、そして香港の大学で学ぶのです。韓国には約半年、香港には2カ月弱くらい。条件を満たすと奨学金がもらえるという、ありがたい制度でした」

就職か、大学院か あきらめきれない夢か

 留学から戻ったフェンファンさんは、所属する、アジア圏の経済学を研究するゼミの活動にいそしんだ。理論だけでなく実践を重視するゼミで、タイやインドネシアで現地の企業を訪問して交流を深めた。海外での経験値が高まるなか、就職か大学院への進学かを迷うようになった。

「就職するなら日本で、と思っていました。日本で暮らすうちにグラフィックや美術にも興味が出てきて、『自分はアイデアを形にしていく過程が好きなのだ』と気づいたんです。広告会社への就職を考え、大学OBや知人のツテを頼って企業訪問などを始めました」

 しかし20年春、世界は突然新型コロナウイルスの猛威にさらされた。大学に行けず、始めたばかりのインターンシップもオンラインになった。「だったら別に日本にいる必要もないな」と思って、中国に帰国したフェンファンさん。オンラインで授業やインターンシップに参加した。

 宙ぶらりんの日々が続いた。就職するか、大学院にいくか。日本に戻るか、このまま中国にいるのか。

「迷えば迷うほど、ずっと心の中に抱えていた夢をあきらめきれないと気づいたんです。『芸能界に進むにはいましかチャンスがない』って」

 そんなとき、サバイバルオーディション番組「PRODUCE 101 JAPAN SEASON2」が始まった。

「就職とか、大学院とか、ここまで大学で学んできた意味とか、そういうことは全部いったん置いておいて、とにかくオーディションに挑戦してみようと決めました」

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