ポーラ社長の及川美紀さん(撮影・写真映像部/松永卓也)
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今の時代にフィットした生き方や働き方の先にある女性リーダー像って? そんなテーマを掲げて編集長の鎌田倫子が女性リーダーにインタビューする連載。4人目は、ポーラ代表取締役社長の及川美紀さんにご登場いただいた。まだまだ男性が多いビジネスの世界で、女性の活躍について積極的に発信してきた女性経営者だ。

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――及川さんは女性経営者としてさまざま会議や、イベントの登壇者として招かれることも多いと思います。「女性」という点で注目されることをどのように感じていますか。

及川美紀さん(以下、敬称略):女性という性別は、変えられない私の一つの側面です。女である及川美紀のこれまでの経験をお話しすることで、誰か一人でも「じゃあ私も頑張ってみようかな」と思ってくれたら、私がその場に行く意味があると思っています。扉を開ける役割を担わされていると思えば、「いやいや私なんて」という謙遜や「女だから選ばれたわけじゃない」といった変なプライドで意固地にならなくてもいいかなと。

 ある意味不思議な話ではあるんですよ。「及川さんの意見が聞きたい」からではなく、女性という括りで呼ばれる。「女性」という点が冠になるほど、いまだに日本は遅れているんですよ。でもだからこそ、風穴を開けていかないといけないと思っています。

――なるほど。会議が男性中心だとしたら、及川さんはどのようにふるまうのですか。何を意識して発言しますか。

及川:できるだけ男性に同化しないようにします。迎合した意見を言った方が、その場も丸く収まるし、楽なんですね。でもここで自分の意見を発言しなかったら、私がいる意味ないよね、だから「ちょっとよろしいですか」と。

 もちろん私の発言は、女性代表の意見ではなくて、及川という働く母親の一人の人間の意見だと思って聞いてください、とは言います。

 ビジネスマンで特にエグゼクティブの方たちとの会議では、女性が一人いると「なんかやりにくくなる」と感じるようです。気を遣わなきゃいけないと。でも、やりにくくなるような話をするならば公の会議ではないし、公の場なら話をするのに、気を遣わなくていいのです。そういうことをひとつずつ紐解いていく役割です。

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女性が地方に戻らないのはなぜか?