AERA 2024年9月16日号より

──テレビに映りこんだ腰元は転倒の衝撃か、大きくはれ上がっていた。満身創痍のなかで挑んだベストトリック5回目、着地を見事に決めて会場を大きく沸かせる。電光掲示板に表示された得点は97.08点。3年前の東京五輪に続く2大会連続の五輪金メダリストとなった。「奇跡の逆転劇」はパリ五輪を彩る名シーンとして多くの人の記憶に刻まれた。

堀米「腰や手首、かかと、もう予選を戦っているころからケガが続いていました。特にかかとのケガは治りが遅くて、だましだまし。滑っているときは痛みは感じないんです。五輪でもそうでした。でも、終わってみるといろいろなところが痛くなっていましたね。

 最後は点数の計算はしていなくて、トリックを決めることに集中していました。今までにないくらいの集中ができたと思います。自分の位置からは電光掲示板がよく見えなくて、点数はわかりませんでした。でも、コーチや周りの反応を見て結果がわかりました」

(編集部・川口穣)

AERA 2024年9月16日号より抜粋

著者プロフィールを見る
川口穣

川口穣

ノンフィクションライター、AERA記者。著書『防災アプリ特務機関NERV 最強の災害情報インフラをつくったホワイトハッカーの10年』(平凡社)で第21回新潮ドキュメント賞候補。宮城県石巻市の災害公営住宅向け無料情報紙「石巻復興きずな新聞」副編集長も務める。

川口穣の記事一覧はこちら
暮らしとモノ班 for promotion
疲労回復グッズの選び方は?実際に使ったマッサージ機のおすすめはコレ!