インタビューに答える松村邦洋さん
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 お笑いタレントの松村邦洋さん(57)の代名詞と言えばモノマネだ。表情、仕草、話し方、声のトーンを本人にそっくりな形に仕上げる唯一無二の芸は、同業者からも「天才」と称される。代表的な例だけでも、ビートたけしさんや津川雅彦さん、西田敏行さん、掛布雅之さん、貴乃花光司さん……と数えきれない。【前編】ではダチョウ倶楽部・上島竜兵さんとの思い出話などを語ってもらった。【後編】ではモノマネ芸の原点になった学生時代、MCを務めた日本テレビ系バラエティー番組「進め!電波少年」で体験した過酷なロケの裏話などを明かしてくれた。

【写真】電波少年のロケで直撃した大統領はこの人

――松村さんは芸能界、スポーツ界を中心に多くの方々のモノマネをされていますが、ご本人に怒られたことはありますか

 ありがたいことに、今まで一度もないですね。この人はこれ以上やったら怒るかもしれないと考えている部分があるかもしれません。10代のときから人の顔色ばかり見てきたので。修業時代ですね。

ビートたけしのものまねは中学時代から

――どんな子どもだったんですか?

 中学2年まではおとなしかったんです。でもしゃべっていないのは辛いなあって。中学3年で一部の人に見せたモノマネの評判が良かったので、そこから明るくなりました。ビートたけしさんや、「金八先生」で直江喜一さんが演じた加藤優さんのモノマネをしていましたね。高校2年で留年したことが人生で大ピンチのときだったんですけど、この経験が芸能界で役立っています。留年したクラスの方がモノマネのウケが良くて。昼の部と夜の部で客が入れ替わった感覚ですね。ここで自信がつきました。当時は不良や暴走族が多くて、先輩たちにもよくモノマネをやらされていました。

――モノマネをしている方たちにお中元、お歳暮を贈っていると聞きましたが

 コロナ明け以降はちょっとできていないですが、“ご迷惑料”でお贈りしています。長年お世話になっている高田文夫さんの教えですね。僕は弟子修行をしていないので、社会のルールや常識などいろいろと勉強させていただいて。「人気とは高さより長さ、続けることが大事だ」という言葉を大事にしています。高田さんは76歳ですけど鉄人です。生き方がかっこいいし、エネルギーがすごい。片岡鶴太郎さんもそうですが、人生の先輩からたくさんのことを教えてもらっています。

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中尾彬の助言がきっかけでその後の仕事が