
パリで引退する選手も
鈴木は東京パラリンピック後に本格的に始めた“選手とコーチの二刀流”を両立する難しさもあり、今シーズン限りで“パラ引退”を表明している。そんな鈴木に「絶対にメダルを獲って、(首に)かけられれば」と石山は誓う。選手としてパリの出場権は得られなかった鈴木だが、スタッフとして初めてのパラリンピックに挑む。
後進を指導するのは山本も同じ。パラリンピックのニュースがスポーツ欄ではなく社会面に掲載されていた頃から戦ってきたパイオニアたちの思いは、パリを経由し、ロス、ブリスベンにつながっていく。
パリ大会限りで引退を発表している選手もいる。女子走り幅跳び(義足T64)の中西麻耶は昨秋プロ活動の終了を宣言。5月の世界選手権で3位に入り、パラリンピックではまだ手にしていないメダルを獲って「若手に勢いをつけたい」と話す。
そのほか、夏冬9度目のパラリンピック出場となる土田和歌子も、パリ・パラリンピックの車いすマラソンレースで現役を退くと発表している。
世界のパラリンピアンたちは、パリに向けてSNSでこんなキャンペーンをしている。
《I won't be participating at Paris(パリには参加しません、競争します)》
ハイレベルな戦いが見られること必至のパリ・パラリンピックを見逃すな。(パラスポーツジャーナリスト・瀬長あすか)
※AERA 2024年9月2日号より抜粋