『子どもの隠れた力を引き出す 最高の受験戦略 中学受験から医学部まで突破した科学的な脳育法』

朝日新書より発売中

 晩婚や高齢出産、それに伴う少子化により、少ない人数の子どもに時間とお金を惜しみなくかけ、大切に育てる親御さんが増えています。しかし、教育に関するあらゆる情報が錯綜する現代において、わが子にとって最良と思える選択をすることは想像以上に困難です。親がよかれと思って提供した教育が、結果的に子どもを追い詰めているケースは珍しくありません。

 私が代表を務める「子育て科学アクシス」には、不登校や引きこもり、慢性的な体調不良など、さまざまな悩みを抱えた親子が相談にこられます。子どもたちの多くは、幼少期からありとあらゆる習い事に通い、小学校からは中学受験に向けてハードな塾通いを経験しています。彼らに共通しているのは、忙しい毎日の中で幼い頃から慢性的な睡眠不足に陥り、脳が上手く育っていないということ。その結果が、不登校や体調不良などの症状として表れていたのです。昼夜を問わず勉強し、念願の名門校に合格できたとしても、心身に異常をきたすようでは本末転倒です。

 とはいえ、私は中学受験そのものを否定するつもりはありません。私の娘も小学6年生の時に自由闊達な校風の中高一貫校に憧れ、自分の意志で「ここに通いたい!」と私立中学受験を決意。学習塾に通うことなく志望校に合格し、自分が選んだ学校で中高6年間を伸び伸びと満喫しました。

 そういうと「もともと優秀だったから合格できたんでしょ?」と思われるかもしれませんが、幼少期の娘は全くもって「優秀な子」ではありませんでした。幼稚園の水泳教室では13クラス中一番下のクラス、文字は年長さんの夏頃まで1文字も読めませんでした。小学4年生の時に受けた全国統一模試では、算数の偏差値がなんと35。日頃から「娘には偏差値では測れない価値を身につけさせたい」と考えていた私も、この時ばかりはさすがに驚きました。しかし、だからといって特に危機感を覚えることもなく、その後も私は娘の成績に一切口を出しませんでした。

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