ドラフト上位指名が確実視される花咲徳栄・石塚裕惺
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 京都国際の初優勝で幕を閉じた夏の甲子園。プロのスカウト陣が注目するドラフト候補も多く登場したが、彼らにマッチする球団は果たしてどこになるのだろうか。補強ポイントと本人の特性の両面から探ってみたいと思う。今回は野手についてだ。

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 野手で最も評価が高いと見られるのが石塚裕惺(花咲徳栄・遊撃手)だ。181cm、82kgの大型ショートで、体つきは高校生とは思えないほどしっかり鍛えられている。広角に鋭い打球を放つバッティングは長打力も十分で、安定した守備、積極的な走塁も魅力だ。今大会では初戦で敗れたものの、第1打席でレフト前ヒットを放つと、盗塁とタッチアップで三塁に進み先制のホームを踏み、走塁面でもアピールした。総合的に見て野手では高校生でナンバーワンと言える存在で、1位指名の可能性も高いだろう。

 マッチしそうな球団としてはまず広島を挙げたい。昨年も二遊間が守れる右打者が補強ポイントと言いながらも指名はなく、現在のチームを見ても強打の右打者が不足していることは明らかだ。体が強く、脚力もあるというのも広島向きの選手と言えるだろう。もう1球団挙げるとしたら西武となりそうだ。外崎修汰、源田壮亮    の2人が揃って30歳を超え、特に外崎は成績の低下も目立つ。圧倒的な最下位というチーム事情を考えると早くから使える選手が欲しいという声もありそうだが、チームを根本から立て直すのであれば中途半端な即戦力よりもスケールのある選手を狙った方が良いのではないだろうか。

 野手でもう1人上位指名の可能性がありそうなのが箱山遥人(健大高崎・捕手)だ。センバツではチームを優勝に導き、強肩強打で高校ナンバーワンキャッチャーの呼び声が高い。春は送球が少しシュート回転していたが、この夏はしっかり縦に腕が振れ、コントロールもよくなった。バッティングもパンチ力は高校生でトップクラスだ。今大会でも2回戦で敗れたものの、見事なスローイングで盗塁を阻止するなど、さすがのプレーを見せた。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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