「直球は常時150キロ近く出ていますが、ことごとく痛打を浴びている。打者から見ると球速ほどの速さを感じないのでしょう。直球で空振りが取れないので、スライダーやカットボールも対応される。気になるのは投球フォームからしなやかさが失われていることです。肉体改造で体が年々大きくなっていますが、直球の質が上がっていない」

 一方、平良も思い描いたシーズンを送れていない。今年は右前腕の張りで5月から約3ヶ月離脱。先発から救援に配置転換されて8月8日から1軍に復帰した。同日のオリックス戦に救援登板し、7回一死二塁から森友哉に155キロ直球をバックスクリーンに叩きこまれた。

 とはいえ、球自体は決して悪くない。続く14日のソフトバンク戦(ベルーナ)は1回1安打無失点に抑えている。

 メジャー西海岸の球団関係者はこう語る。

「平良の投球を映像で確認しましたが、故障から復帰した後も変わらず質の良い球を投げている。彼は救援だけでなく先発でも投げられる。昨年に長いイニングを投げられる力を証明しているし、メジャーに挑戦となれば高い評価になるでしょう。24歳と若いのも魅力的です」

今オフ、メジャー挑戦の希望を訴える可能性も

 平良は高卒3年目の20年からセットアッパーで稼働し、同年に54試合、22年に61試合とリーグ最多登板を記録。3年連続防御率1点台以下で、22年は34ホールドで最優秀中継ぎ投手のタイトルを獲得している。先発に転向した昨季は23試合登板で11勝7敗、防御率2.40の好成績をマークした。

 平良を取材したスポーツ紙記者はこう語る。

「非常にクレバーな投手です。多彩な変化球を操る一方で、直球は被打率が高かったのですが、高めにホップするような球質を磨き、昨年は被打率.189と改善されました。身長173センチと小柄な部類に入りますが、その体格を利用して投げている。自分を俯瞰して考える姿は今永昇太(カブス)と重なります。物事に動じないタイプなのでメンタル面でもメジャー向きの選手です。正直、現状の西武だとモチベーションを維持するのが難しいと思います。まだ若いですが日本での実績は十分ですし、環境を変えたい思いが強いのでは。今オフもメジャーに挑戦の希望を訴えて、交渉が長期化する可能性があります」

西武・平良海馬
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短い年数でのメジャー契約などは十分あり