2024年、夏。今年も甲子園で高校球児たちの熱戦が繰り広げられている。第106回全国高校野球選手権大会の名シーン、名勝負を振り返る。今回は、8月11日の聖光学院(福島)-鶴岡東(山形)について。

3回、鶴岡東・丹羽(撮影/写真映像部・松永卓也)
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 近県同士の対戦を避けるために初戦を東西対決としたのは、甲子園出場の代表が49校となった1978年の60回大会からだ。その後、公平性を持つために2007年からフリー抽選となるのだが、たとえば、昨夏の105回大会では明桜(秋田)と八戸学院光星(青森)、立正大湘南(島根)と広陵(広島)など、初戦での同地区対決は4カードもあった。

鶴岡東・桜井投手(撮影/写真映像部・松永卓也)

同じ東北地区の代表。しかも隣県同士。大会5日目の第2試合、聖光学院(福島)と鶴岡東(山形)の1回戦は、互いに手の内を知り尽くしたもの同士の対戦となった。甲子園大会で福島代表と山形代表が対戦するのは初めてだったが、両校は頻繁に練習試合もする間柄だ。現チームは、昨秋と今年5月と6月の計3回の練習試合を行っている。いずれも鶴岡東が勝利して、聖光学院にしてみれば大舞台がリベンジの場となった。福島県出身である聖光学院の5番・志田隆之助は意識していた。

聖光学院・高野投手(撮影/写真映像部・松永卓也)

「鶴岡東は何度も練習試合をやってきた相手。桜井椿稀投手がいいピッチャーというのはわかっていたので、とにかく引かないで攻めようと思っていた」

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好投手を攻略することが勝利の大前提