NPOキッズドアの「夏休み緊急食料支援」の内容=千葉県船橋市、米倉昭仁撮影

夏休み明けが「怖い」 

 渥美さんが聞き取り調査を行ったところ、保護者たちは「夏休み明けがとても怖い」と訴えたという。

「1、2年前まで、電気代節約のためにエアコンをつけない家庭があったと聞いていますが、この酷暑は命の危険を感じるほど。エアコンをつけざるを得ず、夏休み明けに電気料金の請求書が届くのが怖い、という方が多かった」

 子どもが味わうだろう「体験格差」にも不安を感じているという。

「夏休み明け、友だちから『旅行に行った』『テーマパークが楽しかった』という話を聞いて、子どもが『格差』を感じることを心配しているようです。夏休み中、子どもをどこにも連れて行ってあげられない、と悩んでいる」

NPOキッズドアの職員や運送業者の社員が梱包作業を行う「夏休み緊急食料支援」=千葉県船橋市、米倉昭仁撮影

「弁当格差」で塩にぎり

「保護者自身の健康も心配」と渥美さんは言う。子どもたちを優先し、自分が十分な食事をとっていない親は非常に多く、「ほとんど皆さんそう」だという。

 そんな保護者にとって、子どもたちの「弁当」も負担になっているという。

 夏休み中も放課後児童クラブ(学童)は開いているが、こども家庭庁によると、ほとんどの学童では「給食」はない。そのため、弁当を用意する必要がある。

「お母さん方から、『弁当格差』という話をよく聞きます。隣の子のお弁当がすごく見栄えがいい。さらに、『なんで、お弁当にソーセージが入っていないの』などと心ないことを言われて、傷ついてしまう。そうならないように、子どものお弁当を最優先にして少しでも彩り豊かに作って、自分は『塩にぎり』だけという方が本当に多い。1日2食もザラです」

 前出のアンケートでは、1カ月の食費は、2人家庭で「2~3万円」が34%で最も多かった。自由記述欄には、こんな言葉が書かれていた。

「食料が高くて買えないのが一番情けないです。育ち盛りなので、たくさん食べさせてあげたい」

(AERA dot.編集部・米倉昭仁)