食品の価格高騰が長期化し、子育て世帯の家計を直撃している。特に主食のコメは品薄で大きく値上がりし、「令和の米騒動」といわれるほど。夏休み中の子どもたちには給食がない。子どもたちの食を支援しようと、自治体やNPO団体が食品の配布を開始した。
【写真】夏休みの食糧支援…コメ袋を手に、笑顔はじける子どもたち
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子ども4人、食事のたびに5合
8月5日、東京都品川区は「食の支援」を希望する子育て世帯に対して、子ども1人につき2キロの米の配布を区内25カ所の児童センターで始めた。
「うちは子どもが4歳から10歳まで4人いるので、すごく助かります。お米は食事のたびに5合炊くので、あっという間になくなってしまう。安いお店を探して買うんですが、今は品薄で困っていました。さっそく今晩から使わせていただきます」
品川区立八潮児童センターの職員から米を手渡された40代の主婦、崎山かおりさんは、こう語った。
職員は「きちんと朝ごはんを食べていますか」などと質問しながら、センターを訪れた保護者や子どもに米を渡していく。
同区子ども育成課の藤村信介課長はこう話した。
「支援が必要な家庭の早期発見につなげようと、児童センターに取りに来てもらうかたちにしました」
所得制限を外した理由
森澤恭子区長は6月の定例会見で、小中学生がいる子育て世帯に所得制限なしで米を配布する方針を示した。区は、ひとり親家庭を中心に無料で食品の配送を行う「しあわせ食卓事業」を実施しているが、利用者に「もらって一番うれしいもの」を尋ねたところ、最も多かった回答が「米」だったという。
同区子育て応援課の飛田則文課長は語る。
「夏休み中、子育て世帯にとって大変なのは、『給食がない』こと。仕事をしている親が増えているなかで、毎日、子どもの昼食を用意しなければならない。区にも『夏休みが負担だ』というご家庭からの声がここ1、2年、寄せられるようになりました」
コメの配布を困窮世帯に限定しなかった背景には、「区長の強い思いがある」と、飛田さんは言う。
「所得制限を設けると、『もらえる人』『もらえない人』の間にいる『はざまの人』が出てしまう。ひとり親世帯だけでなく、共働き世帯で収入があるように見えても子育てで家計が大変な世帯もあります。そういう家庭にも手を差し伸べられるようにしました」