■S&P500は割高

 では、新NISAS&P500全世界株式投資する場合、「今が一番高い」可能性ってどれくらいあるのか。

「最近のS&P500には割高感があると思います。しかしバブル絶頂時のTOPIXは今のS&P500の4倍ぐらい割高でした。それに比べれば、まだかわいいレベルといえます。

S&P500や全世界株式が4〜5年くらい低迷する時期はあるかもしれません。ただ10年も20年も調整し続けるようなシナリオは考えにくい」

 とはいえ「ここ10年のS&P500は、明らかに出来すぎだった」とも前山さんは語った。

「こんなやり方はどうでしょう。新NISAのつみたて投資枠で、毎月10万円ずつ15年間で1800万円を埋めるつもりで投資をはじめる。

成長投資枠の年間投資枠240万円は暴落時に底値買いする資金として待機させておく。もしリーマン・ショックのようなことが起こったら、まとめて買う。

暴落がなかったら成長投資枠は使わない。下げにも、右肩上がりの相場にも乗れる折衷案です。

暴落が来たら、当初の予定(10万円×15年)より早く非課税投資の枠を使い切ることになります」

 焦って1800万円を5年で投資し、6年目から下がりはじめたら、初心者は落ち込みそうだ。「そんなの絶対に嫌」と思うなら、前山プランでいいかもしれない。

 5年投資に迷いがない人は、6年目に暴落が来ても(多少の後悔こそあれ)動じない。それだけリスク許容度がしっかりした上級者、もしくは1800万円どころか億クラスの余裕資金を持った人だろう。そういう上級者は自由に投資するのが一番いい。

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武田成央(たけだ・さだちか)/楽天証券 カスタマーエンゲージメント部 「トウシル」編集長。マネー誌編集者歴16年。その後2017年に投資情報メディア「トウシル」を立ち上げ、主要ネット証券で一番に成功させる。初心者投資の味方

編集/綾小路麗香、伊藤忍

※『AERA Money 2023秋冬号』から抜粋

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中島晶子

中島晶子

ニュース週刊誌「AERA」編集者。「AERA」とアエラ増刊「AERA Money」の編集担当。投資信託、株、外貨、住宅ローン、保険、税金などの経済関連記事を20年以上編集。NISA、iDeCoは制度開始当初から取材。月刊マネー誌編集部を経て現職

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