まずは、アジア各国からのオーディエンスが増えていること。特に目立っていたのは中国、台湾からの観客で、たとえば食事を買うために列に並んでいると、“周りは全員、中国語を話す人たち”ということも。何人かと英語と日本語で話してみたが、「子供の頃にフジロックを知って、いつか来てみたかった」という人も。中華圏出身のバンド、アーティストの出演も増え、“アジアを代表するフェス”としての存在感を示したと言えるだろう。
オーディエンスの年齢層もさらに広がったように感じた。親子連れ、高校生のグループから、女性2人組や大人数で参加している人たちまで、どんな人でも居場所があり、それぞれのスタイルで自由に楽しめるのがフジロックの大きな魅力。シニア世代の音楽ファンが一人で参加しても浮かないフェスは本当に貴重だと思う(最終日は“ライド”のTシャツを着ている人が多く、つい話しかけたくなりました)
マカロニえんぴつ、クリープハイプなど、邦楽ロックシーンの人気バンドがメインステージ(グリーンステージ)に登場したのも印象的だった。日本のフェスなので日本のバンドをフィーチャーするのは当然とも思うが、海外のアーティストとのバランスという点では、今後も模索の時期が続くような気がする。
特に興味深かったのが、J-POPシーンで強く支持されている“ずっと真夜中でいいのに。”が、“最終日のメインステージ、トリ前”に登場したこと。若いオーディエンスに訴求するという意味でも素晴らしい抜擢だったと思うが、ヘッドライナーがUKを代表するノエル・ギャラガーだったことを考えると、トリ前は同じくUKのライドかジーザス&メリーチェインのほうが流れが良かったのでは……と、現地でたまたま会った学生時代の知り合いと話し込んでしまった。はい、めんどくさいフジロックおじさんという自覚はあります。
もう一つ気になったのが、世知辛い話で申し訳ないが、お金のことだ。3日間通し券は6万円(一般販売)で、去年と比べて5000円アップ。コロナ前の2019年と比べると、じつに15000円の値上げだ。