21日のレッドソックス戦で今季30号となる推定144メートル弾を放った(写真:ZUMA Press/アフロ)
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 メジャーリーグの後半戦が現地時間の19日から始まった。大谷翔平(30、ドジャース)の三冠王達成に期待がかかる。AERA 2024年8月5日号より。

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 21日のレッドソックス戦。大谷翔平は5回に右中間席へ推定飛距離144メートルの特大アーチを放ち、日本人初となる4年連続30本の大台に到達した。

 エンゼルスから新天地に移籍1年目の今季。前半戦は申し分ない活躍と言ってよいだろう。95試合出場で打率・316、29本塁打、69打点、23盗塁。本塁打数はナ・リーグトップ、打率は2位、打点は3位の好位置につけており、三冠王も射程圏内だ。

 元プロ野球選手で現在はMLB解説者で野球評論家の多村仁志氏は、前半戦のパフォーマンスをこう振り返る。

「さらに凄みが増しています。投手として右肘のリハビリをしながら、リーグも変わり移籍1年目にもかかわらずコンスタントに安打、長打を打ち続けている。三冠王というと、打率が最も難しいと言われます。しかし、大谷選手の場合は打順が1番なので、ポイントは打点ですかね。現在のドジャースは下位打線が少し弱いので走者がいる場面でどれだけ打席に立てるのかがカギを握ると思います。でも、メジャーで三冠王というとてつもない偉業を達成できるか話題になることが、大谷選手の凄みを象徴しています」

新たなルーティン

 さらなる進化のために、歩みを止めない。6月14日のロイヤルズ戦から取り入れた新たなルーティンがある。各打席で地面にバットを置き、ホームベースと三塁線の延長線上に合わせ、軸足となる左足の立ち位置を確認している。現役時代にシーズン打率3割、40本塁打を達成した多村氏はこのルーティンのメリットを解説する。

「私も現役時代に地方球場などに行くと、バッターボックスの前の白線が消えていたり曲がっていたこともあったので、バットでホームベースからラインを引いて、立ち位置が変わらないようにしていたことがありました。いつでも自分のストライクゾーンの見え方が変わらないというのが大きなメリットです。ラインの太さも球場によって違うところもあるそうですし、取材をしているとメジャー30球団の球場は左右非対称な構造が多く個性があります。年に数回しか立たない球場がほとんどなので、打席での立ち位置が少し違うだけでも投手の見え方が変わってしまいます。このルーティンの効果だけではないと思いますが、今年の大谷選手は低めのボール球を我慢できています。特にオフスピードボールと呼ばれるチェンジアップ、スプリットなどの球種に対する打率が昨年より上がっています。ストライクゾーンの球をしっかりと強振してスイングを最後まで振り切ってから、一塁まで動き出しているので、さらに打球に力が伝わり平均打球速度も自身最速の数値を出せているのだと思います」

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