史上6人目となる40本塁打&40盗塁にも期待がかかる(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

走るスピードが脅威

 好球必打を続けることで好不調の波が少なくなっているのは、必然と言える。11年連続ポストシーズン進出しているドジャースは、個々の選手の能力を伸ばすことに定評があるという。多村氏が続ける。

「データ班、コーチが非常に優秀なチームと聞いています。ある選手から聞いたのですが、データを分析し、選手個々に合わせたドリルは勿論、その時の状態によってデータを踏まえながら的確にアドバイスをくれる。打撃練習の器具なども様々でユニークな練習方法がたくさんあり、コーチの指導法も含めて引き出しの多い球団だと思います。大谷選手は他の選手と同様にドジャースでプレーすることで、大きなプラスアルファを得られていると感じます」

 盗塁の数も伸びている。過去のシーズンで「40本塁打&20盗塁」をメジャーで2度達成しているが、今季は21年にマークした自己最多の26盗塁を更新するのは確実な状況だ。昨年から15インチ(約38センチ)四方だったベースのサイズが18インチ(約46センチ)四方と大きくなったこと、ピッチクロック(投球の時間制限)の導入などがメジャー全体の盗塁増の原因に挙げられるが、大谷は走塁の質も高い。前半戦終了時点で盗塁失敗はわずか三つのみ、成功率89.7%と非常に高い。相手バッテリーの配球、投手のフォームの特徴などを見極めて積極果敢に次の塁を狙い、チャンスメイクしている。「長打を打つパワー、打球速度、投球の球速が注目されますが、エンゼルスに移籍して1年目の各球団の監督のコメントを見聞きすると、『一塁に走るスピードが脅威だ』という声が多かった。盗塁技術はもちろんですが、走るスピードの速さも大谷選手の大きな魅力です」と多村氏は強調する。(ライター・平尾類)

AERA 2024年8月5日号より抜粋

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