少年から包容力ある大人に、役とともに成長してきた[撮影:蜷川実花/hair & make up 山本浩未/styling 重光愛子/prop styling 遠藤 歩/costume ヨウジヤマモト プールオム]
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 宝塚歌劇団星組トップスター就任5年目の円熟期を迎える礼真琴さん。現在も成長への意欲は尽きない。AERA 2024年7月29日号の記事より。

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――星組トップスターに就任したのは2019年。「身体能力抜群の少年」というイメージが強かった。トップ5年目となる大劇場公演では、三谷幸喜脚本・監督の映画が原作の「記憶にございません!」で総理大臣を演じる。

礼:「1789-バスティーユの恋人たち-」のロナン・マズリエ、「RRR×TAKA“R”AZUKA~√Bheem)」のコムラム・ビームと、これまで下から這い上がる役が多かったのですが、「ついに総理大臣にまで上り詰めたね」と仲間たちから祝福されました(笑)。

 劇場公開時の19年にこの映画を観ていて、三谷幸喜さんらしいコミカルなドタバタが、最後に家族を思う物語につながるところにジンと来ていました。でも、後にその作品がタカラヅカの舞台になり、自分が演じることになるとは、予想もしていなかった。三谷さんワールドを表現しながら、大切なものに気付くところを丁寧に演じたいと思っています。

――「RRR」は、宝塚110周年の幕開けとなった大作だった。身体を限界まで使う激しいナートゥダンスをはじめ、難しい見せ場も多かった。

礼:「RRR」は今も世界的にヒットし続けている映画が原作で、いつも以上に熱量が上がる作品でした。とりわけナートゥダンスのお稽古は運動量が多くて、お稽古場で汗を噴き出しながらゼーゼーしていると、向かい側にいる暁千星(A・ラーマ・ラージュ役)と目が合う。彼女も同じように肩で息をしていて、「よしよし、お互いに支え合ってがんばろう」と、勇気をもらう。物語と同じように、現実の私たちも絆を深めていく、思い入れの深い作品になりました。

――人前に立つ機会は、小さなころから多かった。お遊戯会や発表会には人一倍張り切って臨んでいた。

礼:自分の力で何かパフォーマンスを行う、ということに、幼いながらにも喜びを感じていたんです。タカラヅカを初めて観たのは中学生の時で、ビリビリとすごい衝撃が走りました。そこから「私もあの舞台に立つ」と決めて、放課後の時間はバレエや歌の勉強に使って、レッスンに打ち込みました。

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