演説にはSNSで見てきたという選挙権を持たない中学生も訪れていた=24年7月、小山歩撮影

ちょっと新しい選挙「アイドルみたい」

 同じ大学の友達と演説を聞いた河瀬雄大さん(22)は、たまたま通りかかって石丸氏を見つけ、足を止めたという。

 「石丸さんのことは、Tiktokで回ってきた“おすすめ動画”で見て知りました。何回も見るうちに親しみやすいと思うようになりました」

 若者たちが話す“動画”とは、市長時代に議会の様子を収めたYouTube動画。市議に対し、「恥を知れ!恥を!」と言い放つ場面などが話題となった。この動画を皮切りに、安芸高田市のユーチューブチャンネルは登録者数約27万人となり、ネット上には同市を問わず、石丸ファンが広がっているとされる。

 石丸氏は、こうしたSNSで広く支持を集め、新しい選挙手法を試みているようだ。ネットを通じて献金を募り、6月30日までの1か月で約2億円を集めたと公表した。件数としては11555件にのぼる。

 「推し活」を公言する女性もいた。飲食店で働く女性(24)が話す。

 「単純に顔がタイプです。あとは親近感。政治家というよりアイドル感が強いです。こういう人が政治やっていた方が、若い世代には刺さるんじゃないかなあ」

 演説を聞いた人からは、石丸氏の公約や主張に関しての意見は聞けなかった。陣営関係者もこう話す。

 「アイドル的な支持や、それを生かした戦略は石丸カラーの一つです。ファンサービスも他の候補にはない強みだと思っています」

紫色のポロシャツを着て規制を行うボランティアら=24年7月、小山歩撮影

 石丸氏の周囲に群がる陣営ボランティア。この日も50人ほどがいるようだ。この人たちはネット募集で集められ、現地集合、現地解散。お互いをまったく知らない緩いつながりなのだという。

 陣営関係者によると、選挙運動にかかわる人は原則として無報酬だ。側近幹部を除き、基本的には、陣営が出しているボランティアの登録フォーマットに事前に登録し、参加可能日を出すと、申し込みの案内が送られてくる。行きたいところに行ってビラ配りなどを手伝う。この身軽さも特徴だ。

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政治への参加の「入口」にも