ヤンキース時代の田中将大

同学年の坂本も苦しいシーズン

 田中将には「限界説」がささやかれるが、35歳という年齢を考えると野球人生で一つの分岐点に差し掛かっていると言えるだろう。同学年の坂本勇人巨人)も、三塁にコンバートして苦しいシーズンを過ごしている。今季は62試合出場で打率.230、4本塁打、18打点と打撃の状態が上がらず(7月12日現在)、6月26日から約2週間ファームで再調整もした。故障や体調不良以外の登録抹消は新人の07年以来17年ぶりだった。

「20代の時と30代中盤では肉体が明らかに変わる。投手で言えば球速が落ち、打者ではスイングスピードが落ちる。田中や坂本は高卒で入団以来、第一線でプレーし続けた勤続疲労も影響していると思います。投手の場合はモデルチェンジも野球寿命を延ばす一つの方法でしょう。田中の配球はスライダー、スピリットの割合が多いですが、カーブの精度が高い。緩急を利用してツーシームのように打者の芯を外す球種を多投しても面白い。試合を作る投球は十分にできる。これは推測ですが、彼は日米通算200勝ではなく、その先を目指していると思います。1年でも長く1軍で活躍できる投球スタイルを確立するためにファームで調整しているのでしょう」(NPBの元トレーナー)

今季復活した菅野と丸

 年齢の壁を乗り越えて、どう進化するか。苦しんだ時期を経て今季復活したのが、菅野智之、丸佳浩(いずれも巨人)だ。2人は「89年世代」で田中将、坂本の1学年下になる。共に球界を代表する選手として長年活躍し続けていたが、昨年は不本意な成績に終わった。

 かつて絶対的エースだった菅野は先発ローテーションを確約されない立場となり、今季開幕時は先発6番手でのスタート。しかし、12試合登板で7勝1敗、防御率1.94と復活。直球の平均球速が上がり、ピンチの場面では150キロを超える直球と曲がりが鋭くなったスライダーで打者を抑える。技巧派に転身するのではなく、本格派の姿で再び輝きを取り戻している。丸も外野のレギュラーを明言されていなかったが、78試合出場で打率.317、8本塁打、27打点と好調をキープ。16年から7年連続20本塁打以上と、かつてはパンチ力に定評があったが、昨年は打率.244、18本塁打と確実性が下がったことからミート力を重視した打撃に変化。1番打者でチャンスメーカーとして、打線を牽引している。

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