節税面だけでなく、手数料のことも知っておこう。iDeCoでは初回のみ2829円、月1回の拠出なら最低171円の手数料が毎月差し引かれる。老後に引き出す際も1回最低440円の手数料。拠出中の節税効果はあるが、全部が定期預金だと預けたお金自体は目減りする。
千円だけ投資信託
カンさんはiDeCoでも「少しだけ投資信託」を提案する。
「定期預金だけでなく、一部を全世界株式や先進国株式に連動する投資信託にしてみませんか。月2万3千円なら、そのうち千円だけ投資信託に振り分けて」
金融機関によって、iDeCoで購入できる投資信託のラインアップは異なる。表に、メガバンクや主要ネット証券のiDeCo対象投資信託から低コストの王道をまとめた。
実際にはどの投資信託が買われているのだろう。iDeCoで低コストの対象投資信託が主要ネット証券で最も多い松井証券に、5月31日時点のデータを見せてもらった(通常非公開)。
「一番人気は『eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)』で、iDeCoでの拠出額全体に占める割合は19.9%でした。2位は同じシリーズの『米国株式(S&P500)』(13.4%)、3位が同『全世界株式(オール・カントリー)』(10.1%)です」(松井証券マーケティング部iDeCo担当の星野雄太郎さん)
8資産均等型が1位というのは意外。他のネット証券ではS&P500や全世界株式、先進国株式が上位を占める。
「定期預金も10位(全体の2.72%)に入っています」
これは他のネット証券でも似た状況。本誌が22年8月末時点の主要ネット証券5社のiDeCoを調査した際、定期預金は5社ともトップ10入りしていた。
なお、松井証券では8月からiDeCoで保有する投資信託の残高に応じて「保有ポイント」を還元する。人気のeMAXIS Slimなども含め39本すべての投資信託が対象だ。
iDeCo制度改正
ところで、iDeCoは制度の見直しが検討されている。6月に岸田文雄総理は「加入者の利益最大化へ改革の検討を進め、年末までに結論を得る」と発言。税理士でファイナンシャルプランナーの西原憲一さんは語る。