お金が減るリスクを恐れて踏み出せない人でも、抵抗感なく始められる資産運用の決定版。ノーリスクで節税しつつお金に働かせる方法を紹介する。AERA 2024年7月15日号より。
【トータルで得する税金は?】「定期預金 × iDeCoで得する税金」はこちら
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人気面ではNISAに劣るiDeCo。24年4月末で加入者は331万人で、NISAの7分の1である。この理由の一つは「急なお金が必要になっても途中で引き出せない」点にありそうだ。これに関し、インデックス投資アドバイザーのカン・チュンドさんの意見はこう。
「中途換金できないことをネガティブに受け止めがちですが、むしろメリットだととらえたほうがいい。いつでも引き出せると、短期間で挫折しかねません。長期運用を続けるための『養成ギプス』のような役割を果たしてくれていると思います」
iDeCoは「年金」である。厚生年金や国民年金も途中で引き出せないが、それに対して文句を言う人は少ないだろう。
NISAには無いiDeCoの魅力は、拠出額(積み立てていく掛け金)は全額が所得控除の対象になり、その分だけ税金が安くなること。その代わり、老後の受け取り時は「完全非課税」ではない。退職所得控除などを適用した税制優遇があるものの、優遇範囲を超えた部分からは所定の税金が引かれる(拠出中の所得控除で得する税金と併せて考えると、トータルで「税金、大損」になることは通常ほぼないので心配しなくていい)。
そしてiDeCoでは定期預金や元本確保型の保険(年金)も選べる。全力でおすすめはしないが、iDeCoで定期預金だけを選ぶと、ノーリスクで節税ができる。表に注目。年収400万円の会社員が毎月2万3千円を拠出すると、得する住民税+所得税は20年で82万円、節税額を利回り換算すると15%。年収700万~1050万円の人なら20年で165万円の節税で利回り30%になる(前提条件は表の脚注参照)。
iDeCoで一部または全部を預貯金で運用している人は全体の30.9%、元本確保型の保険(年金)は5.0%、合計35.9%である(「iDeCo(個人型確定拠出年金)の制度の概況」23年3月末、国民年金基金連合会)。