この先の金利動向なんて自分で判断できず、変動10年と固定5年または3年で迷う人は?
「変動がいいか固定がいいか。住宅ローンでもよく出てくる悩みですね。どっちが得しそうかという観点で考えるから悩んでしまいます。『将来の金利を現時点で固定させたいかどうか』で決めてはどうでしょう。得がしたい人に向かってアドバイスしようとすると、将来はわからないわけですから、回答が厳しいんですよ。だから他の判断軸を持つことが大切です」
ガチガチに家計を固めたい人もいる。半年に一度、決まった額の利子が入ってくることを確定させたいなら、固定金利を。「多少増えたり減ったりするのはかまわない、金利が上がれば利子も増えてラッキー。なんとなく上がりそうだし?」とゆるく考えられる人は変動10年。
個人向け国債の基本をおさらいしておこう。利子は年2回、半年ごと。購入は1万円以上1万円単位。銀行、ゆうちょ、証券会社など898の金融機関で取り扱っている。そのうち26の金融機関はネットで買える(24年7月1日現在)。
「金」を持つ選択肢
たとえば都市銀行では三井住友銀行、りそな銀行。地方銀行では横浜銀行など10行。主要ネット証券ではSBI証券、楽天証券、マネックス証券。対面大手では野村証券、大和証券、SMBC日興証券など。
購入から1年経てば、いつでも換金できる。「100万円のうち20万円だけ」などの一部換金もOK。中途換金の場合「直前2回分の税引き前利子×0.79685」が差し引かれるが、元本割れはしない。購入金額の上限はない。対面大手証券では「1千万円の購入でもれなく現金1万4千円プレゼント」などのキャンペーンもある。
ところで森永さんは個人向け国債を買っている?
「私は個別株と現預金のバランスでリスクを調整するのが好きなので、買っていません。株式市場が危ないと思ったら預金に切り替えています。ただ、安定資金の置き場所として個人向け国債は魅力的だと思います」
個人向け国債以外で、おすすめの金融商品を聞くと「金(ゴールド)もいい」とのこと。
「元本保証はないですが、金という現物としての価値はなくなりません。金には金というモノとしての価値があるので、紙くずになる心配もない。最近では新しく発掘された金は3割ほどを各国の中央銀行が買っているため、需給面で価格が上がりやすくなっています。絶対に安全とはいいませんが、株式などに比べたらリスクは控えめです。純金積み立てや金価格に連動する投資信託を資産の一部で持っておくといいかもしれません」
(経済ジャーナリスト・向井翔太、編集部・中島晶子)
※AERA 2024年7月15日号より抜粋