「落ち着いた雰囲気で静かにたたずみ、ほほ笑みにもどこかはかなさを感じさせる。まさに名前の通り、かすみ草のようなイメージで見られてきました。ただ、薄幸そうなのはあくまでイメージであり、裏を返せば、それだけ彼女の演技力が高い証拠ともいえるでしょう。何度かインタビューをしたことがありますが、俳優という仕事に対して実直でしっかりしたビジョンを持っており、凜としたけなげさのある、とても魅力的な人です。薄幸そうな女優といえば、木村多江や桜井幸子などが挙げられますが、彼女の場合、単なる薄幸とは異なり、悲しみの中にも彼女にしか醸し出せない“温かみ”があるように思います。俳優として、一人の人間として充実期を迎える30代にどんな役を演じてくれるか、今後がますます楽しみです」

 純粋さもけなげさも失わないまま、愛した夫の命によって絶命する──瀬名にはこれまで有村が演じてきた薄幸な女性の不幸を煮詰めたような結末が待っている。そんな女性を有村がどう演じるのか、しっかりと見届けたい。

(雛里美和)

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雛里美和

雛里美和

ライター。新宿・十二社生まれの氷河期世代。語学系出版社から邦ロックシーンを牽引するライブエージェント(イベンター)を経て、独立。教育からエンタメまで幅広い分野で活動する。

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