早いもので、2024年も折り返しです。1月~6月にAERA dot.に掲載され、特に多く読まれた記事をジャンル別に、ランキング形式で紹介します。スポーツ関係の記事の10位は「浅田真央の“挑戦”と“原点回帰” アイスショーを舞台芸術として確立『everlasting33』の魅力」でした(この記事は6月17日に掲載したものの再配信です。年齢や肩書などは当時のもの)。
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ステージ上のシャンデリアがゆっくりと上昇すると、プレミアムな浅田真央のアイスショー「everlasting33」が開幕した。
「everlasting33」(6月2~16日、立川ステージガーデン)は、「浅田真央サンクスツアー」「BEYOND」に続く、浅田プロデュースによる3作目のアイスショーだ。
「浅田真央サンクスツアー」「BEYOND」は選手時代のプログラム使用曲を中心に構成されていたが、「everlasting33」のセットリストにアマチュア時代のプログラム曲は一つもない。浅田が選び抜いた31曲がシアターオーケストラトウキョウによって奏でられ、約120分間のショーを豪華絢爛に彩る。
また、「everlasting33」の最大の特徴は“劇場型アイスショー”であることだ。浅田とカンパニーメンバーは、ステージから張り出したリンク上で滑る。
ショーはTVアニメ「天空のエスカフローネ」の曲である荘厳な『Dance Of Curse』で幕を開け、クラシックやポップス、ミュージカル、映画と多分野から選ばれた名曲が怒涛のように続く。
幼い頃に習っていたバレエに対する浅田の深い造詣が感じられる前半を締めくくるのは、『タイスの瞑想曲』に乗り、柴田嶺と共に披露するエアリアルだ。浅田は公式プログラムのインタビューで、エアリアルの練習初日に気分が悪くなり、以降は梅干しを食べて練習に臨んだというエピソードを明かしている。本番ではそんな苦労を感じさせず優雅に宙を舞う浅田に対し、観客から漏れた心配の声は、曲が終わるころには感嘆のため息へと変わっていった。
さらに浅田は、約5年続けているというタップダンスを、師であるHideboHと共に披露する。フレッド・アステアへのオマージュを込めた『トップ・ハット』と『ロック・アラウンド・ザ・クロック』に合わせ、軽やかに音を響かせた。
また浅田は、振付師・ダンサーのSeishiroと共に、『地球儀』(米津玄師)に乗せた陸上でのダンスもみせた。素足で踊る浅田の姿は新鮮で、競技から離れた後、世界を広げてきた今までの道程が感じられた。