スマホが使えない生活なんてムリ――そんなZ世代のニーズをふまえ、海上自衛隊が艦艇内でのネット環境の改善に乗り出した。これまで遠洋航海中に許されていたネット通信は、1日1往復のメールだけ。不自由な環境の中、特に恋人を“陸”に残してきた隊員などは、さぞツラい思いをしてきたことだろう。艦艇内での「スマホ解禁」に合わせて、現役隊員に“海の上での恋愛事情”について聞いた。
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海上自衛隊は、5月に世界一周の遠洋航海訓練に出発した練習艦「かしま」「しまかぜ」に、米スペースX社の衛星通信サービス「Starlink(スターリンク)」を試験導入した。
これまで、隊員たちが私用で使える艦内のネット通信は速度やデータ容量が著しく制限されており、家族や友人との連絡手段はメールのみ。しかもメールボックスが1日2回しか更新されないため、1往復のやりとりしかできなかった。
だが自衛官の定員割れが続く中、若い世代の志願者増につなげようと、海自はネット環境の整備に本腰を入れることを決めた。海上幕僚監部広報室によると、スターリンク導入によって休憩時間にはSNS利用や動画視聴も可能になり、今後は3年ほどかけて約9割の艦艇に導入する予定だという。
長期の海上勤務につく自衛官の中には、日本に恋人を残してきた若い世代も多くいる。1日1往復のメールしかできないという不自由極まりない環境で、隊員たちは遠距離恋愛をどう乗り越えてきたのか。