俳優デビューが決まった高橋大輔
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 銀盤のスター・高橋大輔が、銀幕にデビューする。

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 高橋が初めて出演する映画は、自らの出身地である岡山県倉敷市を舞台に、花火の打ち上げを目指して奮闘する高校生たちを描く『蔵のある街』。高橋は、その高校生たちの相談相手になる美術館学芸員を演じる。

 高橋は、今年4月に開幕した、ミュージカルがテーマである「プリンスアイスワールド2024-25横浜公演」に出演した。初日の囲み取材で好きなミュージカルについて聞かれた高橋は、「フランス版の『ロミオとジュリエット』が大好き」と目を輝かせて答えている。

「楽曲もすべて好きで。なので『いつか、ちょっとでもいいから出たい』と思っているぐらい、すごく好きなミュージカル。なかなか難しいんですけど、スケートでも、そういう一つのストーリーの世界観をやってみたいなと思ったりすることもあるんです」

 その言葉からは、演技に対する意欲が感じられた。

 現役時代を振り返ると、競技プログラムにおいても、高橋の役になり切る能力は発揮されていた。アイスダンサーとしての高橋にとって最後のフリーダンスである『オペラ座の怪人』の冒頭でみせていた、ファントムが憑依したような鬼気迫る表情は強く印象に残る。

 高橋が芝居と出会ったのは、フィギュアスケートと日本文化を融合したアイスショー「氷艶」シリーズにおいてである。第1作「氷艶hyoen2017-破沙羅-」で源義経を演じた高橋は、歌舞伎俳優達による芝居を目の当たりにして衝撃を受けたという。高橋は、2年後に開催された第2作「氷艶hyoen2019-月光かりの如く-」に臨むにあたり、第1作での松本幸四郎(当時・市川染五郎)の迫力は「凄まじかった」と振り返っている。

「表情、声、体から醸し出す空気のすべてに迫力があり、これが俳優なのか、これが物語を演じるということなのかと圧倒されたものでした」(「月光かりの如く」パンフレットより)

「月光かりの如く」で光源氏に扮した高橋は、初めて台詞に挑戦している。初回公演後の談話では、「一番難しかったことは?」という質問に「やはり台詞があるところですかね」と答えた。

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高橋の広がる“表現の幅”