少子高齢化見据えた戦略
日本アイスクリーム協会によれば、直近の23年度の国内のアイス販売額は6082億円で、4年連続で過去最高を更新した(アイスクリーム類および氷菓、メーカー出荷ベース)。足元ではアイス市場は順調に成長を続けている。
だが、今後も安泰かというと、明るい話ばかりではなさそうだ。日本は人口減で、少子高齢化も進む。子どものおやつとしての需要規模は減り、大人のデザートとしてケーキやゼリーなどとの競争も激しくなる見通しだ。
今でこそ市場拡大が続いているといっても、03年前後まで低迷が続いた時期もある。
少子高齢化を見据えた長期戦略として、同社が目をつけた一つが、ペット向けのアイスなのだという。
「ワンちゃんを家族の一員としてとらえ、ともに時間をすごす方が増えました。人がアイスを食べていると、ワンちゃんが興味を持って近づいてくるシーンも、(開発の)ヒントの一つになりました。ワンちゃんとご家族の皆さんで、一緒にアイスを食べる日常を楽しんでもらいたい」(同)
どうして猫用アイスじゃないの?
コンパニオンアニマルであるならば、猫もいる。猫用アイスでもよかったのではなかろうか。
実は、猫用アイスも検討はしたのだという。だが、開発にあたり、アイスを食べてもらおうとしたところ、警戒心が強いためか、猫からは犬のような「協力」が得られなかった。犬の反応のほうがよかったという。
「ワンワン君」という商品名は、プロジェクトメンバーの意見をもとに決めた。
パッケージに描かれた犬が「ワンワン君」で、ガリガリ君が飼い始めた「雑種のオスの子犬」であること以外は、今のところ明かされていない。
ちなみに、ガリガリ君には看護師をめざす心優しい姉の「シャキ子さん」や妹の「ガリ子ちゃん」、いとこの「ソフト君」らがいる。
当初は専用サイトなどを通じて5000セットの数量限定の販売にとどまり、「テスト販売としての意味合いも強い」(同)という。
アイスドリーム研究所では、ワンワン君のほかにもプロジェクトが進行中だという。この夏はワンワン君をはじめ、ガリガリ君ファミリーの躍進に期待したい。
(ライター・池田正史)