愛犬用アイス「ワンワン君」。80ミリリットルのカップアイス6個入りで1セット3168円(税込み/送料別)。「北海道ヤギミルク」味が3個、「あまおういちご」味、「宮崎マンゴー」味、「バナナ豆乳」味がそれぞれ1個ずつ入っている。体重3キロまでの超小型犬なら5分の1~3分の1カップ、5キロまでの小型犬なら3分の1~2分の1カップ、といった具合に犬の大きさに応じて食べさせる量の目安も表示されている=赤城乳業提供

少子高齢化見据えた戦略

 日本アイスクリーム協会によれば、直近の23年度の国内のアイス販売額は6082億円で、4年連続で過去最高を更新した(アイスクリーム類および氷菓、メーカー出荷ベース)。足元ではアイス市場は順調に成長を続けている。

 だが、今後も安泰かというと、明るい話ばかりではなさそうだ。日本は人口減で、少子高齢化も進む。子どものおやつとしての需要規模は減り、大人のデザートとしてケーキやゼリーなどとの競争も激しくなる見通しだ。

 今でこそ市場拡大が続いているといっても、03年前後まで低迷が続いた時期もある。

 少子高齢化を見据えた長期戦略として、同社が目をつけた一つが、ペット向けのアイスなのだという。

「ワンちゃんを家族の一員としてとらえ、ともに時間をすごす方が増えました。人がアイスを食べていると、ワンちゃんが興味を持って近づいてくるシーンも、(開発の)ヒントの一つになりました。ワンちゃんとご家族の皆さんで、一緒にアイスを食べる日常を楽しんでもらいたい」(同)

ワンワン君の「北海道ヤギミルク」味。四つの味を用意=赤城乳業提供

どうして猫用アイスじゃないの?

 コンパニオンアニマルであるならば、もいる。猫用アイスでもよかったのではなかろうか。

 実は、猫用アイスも検討はしたのだという。だが、開発にあたり、アイスを食べてもらおうとしたところ、警戒心が強いためか、猫からは犬のような「協力」が得られなかった。犬の反応のほうがよかったという。

「ワンワン君」という商品名は、プロジェクトメンバーの意見をもとに決めた。

 パッケージに描かれた犬が「ワンワン君」で、ガリガリ君が飼い始めた「雑種のオスの子犬」であること以外は、今のところ明かされていない。

 ちなみに、ガリガリ君には看護師をめざす心優しい姉の「シャキ子さん」や妹の「ガリ子ちゃん」、いとこの「ソフト君」らがいる。

 当初は専用サイトなどを通じて5000セットの数量限定の販売にとどまり、「テスト販売としての意味合いも強い」(同)という。

 アイスドリーム研究所では、ワンワン君のほかにもプロジェクトが進行中だという。この夏はワンワン君をはじめ、ガリガリ君ファミリーの躍進に期待したい。

安心して食べられるよう原材料や品質にこだわった=赤城乳業提供

(ライター・池田正史)

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池田正史

池田正史

主に身のまわりのお金の問題について取材しています。普段暮らしていてつい見過ごしがちな問題を見つけられるように勉強中です。その地方特有の経済や産業にも関心があります。1975年、茨城県生まれ。慶応大学卒。信託銀行退職後、環境や途上国支援の業界紙、週刊エコノミスト編集部、月刊ニュースがわかる編集室、週刊朝日編集部などを経て現職。

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