筆者が2019年にシリコンバレーのエヌビディア本社で人事担当者を取材した際には「1週間に6千通の履歴書が応募者から送られてくる」と聞いた。

 5年経った現在ではその数をはるかに上回る人材が同社に殺到していることだろう。

 コロナ禍前に筆者がラスベガスのテック見本市「CES」の会場で、あるEVスタートアップ企業の社長を取材していると、革ジャンを着た男性がふらっとひとりで笑顔でやってきて、若いその社長に「一緒にやりたいことがあるから連絡して」と言って去って行った。それがファン氏だった。スタートアップの社長はひざから崩れ落ちんばかりに驚き、泣きそうになって狂喜乱舞した。その光景が今でも忘れられない。(ジャーナリスト・長野美穂=ロサンゼルス)

AERA 2024年6月17日号より抜粋

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長野美穂

長野美穂

ロサンゼルスの米インベスターズ・ビジネス・デイリー紙で記者として約5年間勤務し、自動車、バイオテクノロジー、製薬業界などを担当した後に独立。ミシガン州の地元新聞社で勤務の際には、中絶問題の記事でミシガン・プレス協会のフィーチャー記事賞を受賞。

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