学校や仕事、生活での悩みや疑問。廣津留さんならどう考える?(撮影/吉松伸太郎)
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小中高と大分の公立校で学び、米・ハーバード大学、ジュリアード音楽院を卒業・修了したバイオリニストの廣津留すみれさん(30)。その活動は国内外での演奏だけにとどまらず、大学の教壇に立ったり、情報番組のコメンテーターを務めたりと、幅広い。「才女」のひと言では片付けられない廣津留さんに、人間関係から教育やキャリアのことまで、さまざまな悩みや疑問を投げかけていくAERA dot.連載。今回は、情報番組のコメンテーターをはじめとするテレビでの仕事について話を聞いてみた。

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Q. テレビの情報番組でコメンテーターをされていますが、出演の際に心がけていることはありますか? また、テレビに毎週出演することで変化したことがあれば教えてください。

A. そうですね……、コメンテーターとして心がけているのは自然体でしゃべることでしょうか。興味がないことに対して興味があるフリをしても視聴者には絶対わかってしまうと思うんですよね。番組を見てくださっている方はお気付きかもしれませんが、例えば野球の話題のときに、私は興味津々という感じには見えませんよね?(笑)でもそんな時、たとえ野球については無知でも、自分なりの視点で解釈をするようにしています。

 社会問題に関するトピックについては、個人の興味の問題ではないと思っています。例えば認知症の話題について、いまは自分の身近な人にはいなくても、もしかしたら今後向き合うことになるかもしれません。そうやってどんな話題でも自分とのつながりを意識し、自分事として考えるようにしています。

 もう一つ心がけているのは、知ったかぶりをしないこと。専門家ではない自分がテレビでコメントするのは不思議ではあるのですが、何かしらの意味があるはずだと思いまして。専門的な話は専門家の方に任せ、私は知ったかぶりをせずに自分の疑問を素直にぶつけるのが役割でもあるのかなと思っています。視聴者と同じ立場にいる者として、わからないことは聞こう、と。また、特に意識しているわけではありませんが、自分が伝えたいことを発言するときは、落ち着いて若干低めの声で話しているかもしれません。これは、議論の場が多いアメリカで身についたことの一つで、ハーバード大のディベートでも“感情的にならずに落ち着いた声で話す”が鉄則でした。

 毎週テレビに出演するようになって大きく変わったのは、以前よりも意識してニュースを取り入れるようになったことです。毎日、アプリの通知やメールマガジンに目を通してラインアップをチェックし、気になったものはしっかり読むようにしています。ニュースソースは、「ウォール・ストリート・ジャーナル」や「フィナンシャル・タイムズ」「ワシントン・ポスト」「ニューヨーク・タイムズ」など、アメリカやイギリスのメディアが多いです。ロシアのウクライナ侵攻などの緊急事態が発生した際は、CNNをつけっぱなしにして最新情報が入ってくるようにしていました。もちろん、日本のものも見ていますよ。

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廣津留すみれ

廣津留すみれ

ひろつる・すみれ/バイオリニスト、国際教養大学特任准教授・成蹊大学客員准教授。1993年、大分市生まれ。2016年にハーバード大学(学士課程)、2018年にジュリアード音楽院(修士課程)を卒業。世界的チェリスト、ヨーヨー・マとの共演のほか、ゲーム「ファイナルファンタジー」シリーズの演奏・録音などを担当。情報番組にコメンテーターとして出演も。著書に『ハーバード・ジュリアードを首席卒業した私の「超・独学術」』(KADOKAWA)など。2022年にファーストCD「メンデルスゾーン/ヴァイオリン協奏曲+シャコンヌ」をリリース。ジュリアード音楽院の教授ジョセフ・リン氏の代演を務めたコンサートのライブ音源を収録している。

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