皇族が初めて南米を訪問したのは58年。昭和天皇の弟宮である三笠宮さまと妻の百合子さまだ。ブラジルに日本人が移住して50年という節目の年だった。

「戦前であれば、皇族のブラジル訪問は難しかったであろうが、実現したのは戦後の日本が民主化されたため」

 ブラジル・サンパウロで執り行われた移民の慰霊祭での三笠宮さまの言葉は、南米への訪問が容易でなかった当時の状況を物語っている。
 

 その後は、67年に当時の皇太子ご夫妻(現在の上皇ご夫妻)が、昭和天皇の名代としてペルー、アルゼンチン、ブラジルを訪問。78年のブラジルの日本移民70年の節目でも、ブラジルとパラグアイを訪れた。

 82年には大学院に進んだばかりの浩宮さま(現在の天皇陛下)が、88年には秋篠宮さまが、それぞれブラジルを訪問している。

 さらに95年には紀宮さま時代の黒田清子さんがブラジルを訪れたが、内親王の公式な外国訪問としては初めてのことだった。清子さんは99年にペルーとボリビア、2003年にはウルグアイ、ホンジュラスを訪れ、アルゼンチンに立ち寄っている。

 2000年代に入っても、皇太子時代の天皇陛下や秋篠宮さまらが相次いで訪問しており、南米に対する皇室の思い入れの深さ、配慮の大きさがうかがえる。
 

現地の過酷な環境に耐えうる皇族

 そんななか、過去10年ほどを振り返ると、南米の訪問を担ってきたのが秋篠宮家だ。秋篠宮ご夫妻は14年にペルーとアルゼンチン、15年にブラジル、17年にはチリへ。眞子さんも16年にパラグアイ、18年にブラジル、19年にはペルーとボリビアを訪れている。

 ここしばらく、秋篠宮家が南米の国際親善を担っているのはなぜなのか。

 皇室の事情に詳しい人物は、

「皇室の少子高齢化の影響です」

 と指摘する。
 

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「機動力」のある皇族は