しかし年金制度は思ったほどうまくいっていません。なぜなら、年金を負担する現役世代の人口が増えなかったから。
そして日本人の寿命が延びて、年金の支払期間が予想以上に長くなってしまったからです。
今やみなさんは、「年金だけでは十分に豊かな老後を送れない」ということを理解されていると思います。
だからこそ、労働収入からの月々の支出をなるべく抑えて、余剰分をすべて投資する行動が大切になります。
投資でもっともっと儲けようと思って個別株を選んでしまうと、せっかくの資産が半減するようなリスクもあります。
だから、普通の人は全世界株式のインデックス型投資信託です。世界経済の動きと連動しますから、世界経済が中長期的には成長するということを信じられるなら、大丈夫です。
住宅ローン機能せず
先ほど年金の話をしましたが、かつては住宅ローンも、こういった資本育成の一端を担ってくれていました。
低金利での借金を返済し終えれば、「不動産」という資産も手に入りました。でも、人口が増えない日本では、この仕組みもうまく機能しなくなってしまいました。
住宅ローンだけでは十分な資本蓄積ができなくなってしまったわけです。もう世界全体の市場の伸びに期待するしか道は残されていません。自分の将来のお金のリスクを、自分でなくすために投資をしましょう。
収入の2割を投資し続ければだいたい30年。3割を投資し続けられるなら20年もあれば、そこから先はお金に困ることがほとんどなくなるでしょう。
投資したお金の収益といくらかの年金を合わせれば、老後もある程度の暮らしができるようになります。
まとめます。経済全体から見た場合に、労働による賃金や給与というのはすでに脇役。資本からの収益こそが主役。お金のイメージをアップデートしてください。
(文/勝間和代)
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編集/綾小路麗香、伊藤忍
※『AERA Money 2024春夏号』から抜粋