
■渡辺祥子(映画評論家)
評価:★★★★
死が迫る中、かつて捨てた娘からの反発や憎しみを繊細な心を秘めた肥満体で受け止める男の姿が哀しい。彼が愛して死別した男の妹が唯一の友人のいま、いかにして娘の気持ちを取り戻すか。やるせなさがこみ上げてくる。
■大場正明(映画評論家)
評価:★★★★
主人公と訪問者たちのやりとりを通して、自分から逃げる人々の心理や行動が鋭く掘り下げられ、深い苦悩が炙り出される。冒頭が伏線になり、すべてがメルヴィルの『白鯨』に関するエッセイに集約される構成が実に鮮やか。
■LiLiCo(映画コメンテーター)
評価:★★★★
主人公の体形が話題。メイクはスゴイ! でもテーマはそこじゃない気がする。父と娘を描くのがうまい監督だけど、そこだけでもない。思うことが沢山あって感想が纏まらない。生きるのは難しいけど素晴らしい。それです!
■わたなべりんたろう(映画ライター)
評価:★★★★
出演俳優が全て素晴らしく、まさに演技のぶつかり合い。キャラクターの掘り下げをここまでするのは滅多にない傑出した脚本。派手なことはしないが、実は地味にいろいろ仕込んでいる撮影監督リバティークがこれまた見事。
(構成/長沢明[+code])
※週刊朝日 2023年4月14日号

